議会のようす 
                                      

    2018年9月議会一般質問 

 日本共産党の立身万千子です。
 猛暑の夏も、ようやく終りを告げようとしています。この横手市でも気温38度という数値を記録した異常気象は、1世紀以上前に及ぶイギリスでの産業革命に端を発してオゾン層の破壊や地球温暖化など人類が手がけてしまった結果であり、自然現象とは言えません。しかし個々人の力では解決しがたい現象に対処するには、安心して安全に生きていける環境を整える責務を負っている国や自治体が率先して取り組まなければならないことが当然あると思われます。特に、将来を担っていく子どもたちへの環境整備は、そこに住む大人たちの責任であり、とりわけ学校という公共施設の環境は、自治体が守らなければならないことが明らかです。にも拘わらず、先般7月23日の市政懇談会において、参加した中学生による「教室に冷房設備をつけてほしい」との要望に対し、市長は「我慢することが大切」と答弁された由。この市長の言葉に、参加された住民からは「無責任な精神論で横手市を引っ張らないでほしい。懇談会とは一方的に考えを押し付ける会合ではなく、対等平等に対話をしていく集まりではないのか」また「今の社会の流れに背を向けているのではないか」と批判の声を耳にします。私も、市長及び職員の皆さんには、市民に寄り添い、市民と同じ目線で業務を遂行して頂きたいと切に願うものです。

 そこで今回、私はその「市民目線」を一つのキーワードにして、質問いたします。

 8月17日付で、総合政策部から「平成31年度組織機構再編方針(案)」が発表されました。これは聞くところによると、各現場の日常業務を通しての意見が元になって作成されたものではありませんでした。あくまでも「叩かれ台」であって、これから各部の職員間や議会で論議する予定とのことです。しかし新たな組織機構でのスタートまでわずか半年の期間しかなく、今後の組織機構の業務遂行を担保する予算編成などを鑑みれば、じっくりと話し合い、市民もそして市役所で働く職員も納得し、満足のいく再編の方針ができるのかどうか疑問です。何より、市民の声を聴く場を全く想定していないことが、私は大変心配になります。

 昨今、市民の間では「市役所の組織が全く市民とかけ離れていて、市民にとって分かりにくい状況になっている」との声が聞かれます。  
 市役所という組織は本来市民にわかりやすいものであり、市民の目線に立った業務内容でなければならないはずです。そういう立場に立って、この際、時間をかけて市民の声をしっかり聴いて、市民要求に応えられる組織機構の再編であるべきと強く望み、次の通り何点か質問します。

1.「子育て支援課」を教育委員会所管とすることについてお尋ねします。

 方針案によれば、健康福祉部所管の4つの係のうち、児童家庭係だけを、新設予定の「市民福祉部」の中の「市民支援課」に配属させ、幼保係・子ども育成係・保育環境整備係の3部門で「子育て支援課」を構成し、教育委員会に所属させるというものです。これについて2点質問します。

1 幼児期に大切なのは「自分が無条件にありのまま受け入れられる」という安心の基盤づくりであることだと私は考えます。このことは、全国で策定されつつある地方自治体の「子どもの権利条例」のお手本と評価されている“川崎市子どもの権利に関する条例”の第2章「人間としての大切な子どもの権利」の9条・10条・11条に明記されています。また、子どもにとって「あそび」が「教育」であるとも言われています。そこで質問しますが、教育委員会の所管ではともすれば「理想の子ども像」を追求することが優先されて、所謂「勉強する」ことが第一義となり、子どもの「あそび」を保障することがおろそかにならないかと心配する声が聞かれます。このことについてどうお考えでしょうか?

2 横手市では厚生労働省管轄の「「放課後児童クラブ(学童保育)」を日常にして、夏と冬の長期休みに文部科学省管轄である「放課後子ども教室」を展開していますが、私が3月議会一般質問で触れたとおり国は文部科学省の放課後対策に一本化することを推奨しています。そうなると朝から5時間目や6時間目が終わってからもまだ学校内の空き教室などで勉強の延長を強いられ、子どもの権利条約31条で保障されている休息や余暇・自由な裁量の時間も奪ってしまうことになる恐れがあります。これまで横手市は、子どもの発達心理等々を考慮して福祉の立場から放課後対策を優先してこられました。しかしこれを機会に文部科学省の推進する方向に一本化する布石ではないのかと懸念します。市長のお考えはどうでしょうか?

2、「建設水道部」の設置について質問します。

 再編方針案では「建設部と水道部の事業を実施する際における業務連携の強化や専門的な職員の、柔軟な配置を図るため」と理由を明記しておりますが、それについて2点お尋ねします。

1 建設部門と水道部門は、市の公共施設のインフラ部門で共通の大きな課題を抱えていることは承知の事実であり、老朽化に伴う更新や維持管理、それらの費用の重荷が市の財政運営にのしかかってくるであろうことは承知しています。また条例上どちらも管理者が市長であることも認識しています。しかし設計や現場の管理等が同時期に複数発生することがありうると考えます。その場合、調整や協力といった体制が職員数減少の中で、現実として可能なのか?工事の設計や発注の遅れなど支障をきたすことにはならないか危惧するところです。質・量ともにしっかりとした人的配置を要望するものですが、この点について如何お考えでしょうか?

2 国は、水道法改正を視野に置き、水道事業の民営化を図ろうと動いています。浜松市は下水道事業に公設民営のコンセッション方式の導入を決定しました。今後は上水道事業も展望しているとのことです。しかし市民にとって水の供給管理は命に係わるものであり、海外では逆に民営化した水道事業を直営に戻す動きもあると聞いています。この課題には、より丁寧に向き合っていくべきと思いますが、横手市はどういう方向を目指しているのか、市長のお考えはいかがでしょうか?

3、「地域協働部」と「市民センター」の設置、及び「市民福祉部」との関連について質問します。

 方針案には「現まちづくり推進部の機能を維持しつつ、地区交流センターを軸とした新たな協働の形を推進するため“地域協働部”を設置する。そして各地域の窓口機能を一元化し、市民生活に直結したサービス機能に特化するため“市民センター”を設置する。さらに市民にとって最も身近な窓口業務の所管部門を一元化し、市民センター窓口のワンストップ化を推進するため“市民福祉部”を設置する」と書かれています。それについて2点お尋ねします。

1 軸となるべき「地区交流センター」は、まだまだ全市に定着しておりません。特に横手地域における地区交流センターについては、これまでの議論を振り返ると、実現はムリだという意見が大勢を占めています。その状態で各地域局の2課(現在の地域課と市民サービス課)を1つに統一して「市民センター」という名称に変えることからの市民の混乱を懸念しますが、いかがでしょうか?

2 窓口機能を一元化すること自体は市民の立場から歓迎します。しかし「市民センター窓口」のワンストップ化を推進するための「市民福祉部」設置とは、どういうことか、お聞かせください。

4、「組織再編後の地域局業務の流れ」について質問します。

  (先ほど申し上げたように)市民サービスを維持するため窓口体制の構築は必要であると私も考えます。方針案で「経験豊富な再任用職員が“窓口コンシェルジュ”として配置される」ということは市民にとってありがたいと評価します。その上で1点お尋ねします。

1 窓口定型業務のアウトソーシングを推進すると方針案に明記されていることについて、その問題点は何か?それをどう克服するお考えかをお聞かせください。マイナンバー導入と同様に、一定分野でも民営化するわけであり、個人情報の流出が心配されます。当然、方針案作成にあたって、他自治体の状況を調査されたことと思いますので、その経緯もお聞かせください。短絡的とも思えるアウトソーシングという考えには、私は賛成しかねるものです。

 以上で私の通告した質問を終えますが、人口減少は日本の中で大変大きな問題であり、なんとかして次の世代にこの国・この横手・この地域を繋いでいかなければなりません。だからこそ、一番身近に住民に接していて、良いことも困りごとも日々対話して施策を講じる自治体職員の質と量が十分でなければならないことは、誰が見てもわかります。
 再編方針案の最後に記された「組織力の向上を目指した体制の構築」は当然必要ですがその中で「専門的スキルや知識の習得の奨励」もさることながら、もともと優れた能力を持つ職員の皆さんですから、その方々が業務を一人で抱えることなく、住民の要求にしっかり応えることができる組織力をつけていくことこそ必要ではないでしょうか。法制化されてしまった「働き方改革」の本質が著しく組織を分断してしまう要素を含んでいることは、職員の皆さんはすでにご承知かと思います。
 今回の再編方針案を「叩かれ台」だとしながらも、議会に通したからそれで良しとする安易なお考えではなく、何よりも市民にわかりやすい、市民に優しい市役所づくりのためにも、市民の意見を聴くこと、更には幅広い議論をすることを最優先にし、市役所の現場の声が反映される組織機構にする上でも、じっくりと時間をかけて方針づくりを進めていくべきと今一度申し上げて質問を終わります。







  
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