このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉〜〜医療・農業を中心に
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「このまま進めて大丈夫なの?
TPP交渉〜〜医療・農業を中心に」

11月10日秋田市で、保険医協会の方々などが主催する講演会がありました。
講師は東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏。20ページ以上の資料を基に、90分の講義!でしたが、ユーモアを混えながらも政府がマスコミを通して吹聴している「ウソ」を、事実を掲げて暴露してくれました。
例をあげれば
@「聖域は守る」のウソ=2013年2月の安倍首相とオバマ大統領との日米共同声明は「TPPのアウトライン」について関税撤廃に例外はない方針を確認し、それに基づいて米国政府は農業界に対して「日本はすべての農産物関税を撤廃するという米国の目的を理解した」と説明した。
日本が強調していた重要5品目(コメ・乳製品・小麦と大麦・牛肉と豚肉・砂糖)における関税撤廃の除外品目は586品目に及ぶが、この共同声明後、重要5品目でなく「5分野」と言い始め各分野の細目中最低1つずつでも除外できれば、586品目ではなく「重要5分野」を死守できる?という詭弁を言い出した。
A「安全基準、軽自動車区分など自動車についての日本の独自性は守る」のウソ=輸入検査の簡略化(実質的な安全基準緩和)を日本の交渉参加承認のための米国への前払い金(TPP参加の入場料とも言われる)としただけでなく、軽自動車の税制について、日本側から増税を検討する意向を示した。
つまり米国の要求を先取りしてまで、日本国民の税金を高くすることが独自性とは言語道断!
B「BSEなどの食の安全基準は守る」のウソ=BSE(牛海綿状脳症)は2013年2月1日に既に輸入条件を緩和してしまい、防腐剤・防カビ剤のさらなる緩和は日米2国間協議の重要項目になっている。
遺伝子組み換え食品(GM)の表示をさせない方向についても米国のTPPの農業交渉官の一人は、あの、モンサント社の前ロビイストであり日本へは野放しでGM侵略が進む。
C「医療・薬価制度は守る」のウソ=米国製薬会社からの薬価つり上げ要求が激しかった中で、日本は早々と新薬の値段の引き上げを規制改革検討項目に挙げた。混合診療の解禁についても然り。外国人医師の採用は国家戦略特区で行う。
D「国家主権を侵害するISD(投資家国家間紛争処理)条項に反対する」のウソ=反対するどころか、日本政府はISD条項に賛成して米国を後押ししている。
従って、地産地消の学校給食や産直運動は米国の企業にとって参入障壁だから・またジェネリック医薬品は米国の製薬会社にとって利益拡大のじゃまだから…などで、米国企業が日本政府を国際投資紛争仲裁センターに提訴して損害賠償させてしまう。
実際にメキシコやカナダはこのISD条項を使われて提訴され、国の制度撤廃に追い込まれている。……
国民健康保険も参入障壁とされて医療の崩壊を招く恐れは充分にあり、公共事業の国際入札により地方自治体の行政も否定されてしまうというように、国民の命と健康、日本の伝統、文化、地域コミュニティ、安全・安心な普通の暮らしを守るために、国民一人一人がTPPの中身を真剣に学習し直すことで情報の共有が大切!と強調されました。
講師はさらに「よほど若い人は別としてそれなりの年齢に達している人は、残された自身の生涯を、拠って立つ人々のためにわが身を犠牲にする気概を持って、全責任を自らが背負う覚悟を明確に表明し、TPP阻止のために実行することが、実は、自らも含めて社会全体を救うのではないか!」と呼び掛けられました。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の1%の人々ではなく、99%の人々が真実を認識できれば圧倒的な数の力があることに、メディアも経済学も気づかなければならない時!という言葉に同感です。
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