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       2016年9月議会一般質問
 
 日本共産党の立身万千子です。
 通告した問題に入る前に、今、私が非常に考えさせられていることを、少し申し述べたいと思います。
 年々厳しくなる気候変動の下で日本の国土は、猛暑と暴風雨そして相次ぐ地震に見舞われました。安全安心な暮らしを確保するための施策が、国はもとより地方自治体に今ほど求められている時はないと私は思います。
 わが横手市は、心配されていた台風10号も、果樹など農作物に大きな被害をかろうじて免れたところですが、自然災害は避けられないとしても、来るべき冬の雪害を克服し、さらに人の手による災害に対しては市民の命・生業を自治体の責任で守っていかなければなりません。
 一方、災害という言葉では表現されなくても、市民に降りかかる災難は、7月の参議院選挙終了後、とみに大きくなってきたと言わざるを得ないのではないでしょうか。
 例をあげるときりがないのですが、年金の問題では、私達国民が必死の思いで支払っている公的年金を株に転用した結果、5兆円を超す損失が最近明らかになりました。それを補填するのは私たち国民の税金であり、とりわけ若い世代が将来、公的年金を受給できるかどうか懸念されます。
 介護保険については昨年度からの要支援1と2の保険適用外しをさらにエスカレートさせ、利用料の1割負担を2割にすることや、福祉用具の貸与も保険適用から外す方向を打ち出しました。また「地域における医療と介護の総合的な確保を推進する」として地域医療構想なるものを都道府県に策定させて、私達市民が必要とする医療を切り捨て、国が支出する医療費も介護費も抑制するため在宅介護に方向づけているのが国のやりかたです。
 「福祉というものは莫大な金がかかる」と言いながら、わずか数パーセントの大企業が史上最高の利益を、従業員の福利厚生に充てるでもなく、設備投資につぎ込むでもなく、ただ溜め込んでいる中で、企業向けの法人税は減税するという大手経済界と国の目論見には怒りを禁じ得ません。
 そのような福祉分野のみならず、義務教育に係る就学援助や税制度など、あらゆる支払い制度の基準となる生活保護も加算を減らし、実質支給額を減額すると通知されています。
 そして最近のニュースでは「税金の配偶者控除を見直す」と国が又しても言い出しました。その理由は「社会に出て働く女性が増えたから、103万円のカベは取り去るべきだ」という言い分です。
 そもそも高度経済成長の時代に、サラリーマンの夫を支えて家事・育児を一手に引き受ける専業主婦の優遇策として配偶者控除が設置され、年収103万円を超えない程度のパートタイムで働く主婦であれば所得税38万円と住民税33万円が夫の税申告で払い戻しされてきました。けれども昨今の状況はどうでしょうか。
働く女性の3人に1人は非正規のパートタイマーであり、家計の足しにしなければ!と年末調整や確定申告で少しでも控除されることを期待して働いてきた結果がこれでは、庶民の暮らしは一向に良くなりません。
 「女性が耀く時代」と言われても、経済の低迷で苦しんでいる多くの女性たちを見れば、今はその時期ではないと残念に思います。
 選挙で国民の支持を得たとばかりに中央政府は、国民がどんなに困っていても「法律でとっくに決められていたことだ」とし、国民生活向上とは真逆の方向に走っていると言わざるを得ない状況ではないでしょうか。
 そのような情勢の下でも、地方自治体は国民に最も身近な存在であり、地方行政に携わる市長はじめ職員の皆さんのみならず私共議員も含めて、日々多くの住民の実態・苦しさに触れています。
 国の縛り・制約がどんなにあったとしても、地方自治体には市民の暮らしを守る手立てを考え、見つける責任があります。
 全国の地方自治体と同様に多くの課題を抱える横手市は、総合計画のテーマを「みんなの力で未来を拓く、人と地域が燦くまち よこて」とし、地方創生の総合戦略として農業振興や人口減少克服を重点に位置づけました。
 そして市長は就任以来、一貫して「子育て支援に力を注ぐ」と言ってこられました。
 数年前、週刊東洋経済誌で「公園の面積が子どもの割合からして全国一広い」という理由から、横手市は「日本一子育てしやすいまち」と報道されました。確かに市内には自主的な子育てサークルがとても多く活動しており、行政の手立てもキメ細かいと私も感じます。この現状をさらに分析し、今後の課題を明確にすることで、岡山県奈義町のように、合計特殊出生率:驚きの2.8ポイントを目指すなど、全国から称えられるまちにするために、市長をはじめ職員の皆さん、市民の皆さんと知恵を出し合って具体化することを切に願って一般質問を行います。
 国の「子ども子育て支援新制度」は、2012年8月の「社会保障と税の一体改革関連法」として、子ども子育て支援法などが成立し、国と地方を合わせて5127億円の予算計上で2015年4月から実施されました。第一義的には、待機児童の解消を含む少子化対策の目玉政策としての制度実施でしたが、この内容が極めて複雑なために、市町村や保育の現場は大きな混乱に見舞われたということを、私も、横手市の子ども子育て会議を傍聴するなどして感じています。
 しかし国によって決められた以上、市町村は実施に踏み切らざるを得ず、担当職員の方々のご労苦をお察しするものです。
 この新制度が実施されて約一年半になりますが、横手市の子育て支援体制は、どう変わったのか、そして今後に向けてどんな課題が明らかになったかをお尋ねします。


1、はじめに、従来の地域保育所そして国が推進している認定こども園と小規模保育所についてそれぞれの状況をお知らせください。


2、次に、放課後児童健全育成事業いわゆる学童保育の状況について伺います。
 今から40年ほど前、両親が働きに出て小学校低学年の子供達がカギっ子となり、犯罪に巻き込まれるなどの問題が発生したことから、やむにやまれず親御さんたちの運動によって自主的に始まった学童保育は法的基準がなかなか作られず、粘り強く国に要望してきた経緯があります。この横手市でも30年前に市内の保護者たちの切実な要望で学童保育「ピノキオ」が誕生し、行政にコツコツと働きかけをしてきた結果、今に至っています。2015年3月に国からようやく法的根拠を持った省令基準と運営指針が発表されました。これを足がかりにして更に改善していくことが必要と思いますが、横手市における学童保育事業の状況を伺います。


3、子育て援助活動支援、これはファミリーサポートセンターといわれる事業です。この通称「ファミサポ」は、横手市では比較的早く開始され、体調不良の子どもたちもキメ細かくサポートしてもらっていると伺っていますが、実態と今後の課題はどういったものかお尋ねします。


4、最後に、これまで伺った事業以外の取り組みについてお聞きします。国によれば、妊婦検診や、横手市で行なっている「こんにちは赤ちゃん」事業も含まれるとのことですが、実情をお聞かせください。



 次に大きい二番目の質問です。これまでお尋ねしてきた保育所などの運営について、新制度では、国は「多用な事業主体」という言葉で法人や株式会社、個人などが子育て支援に取り組むことを奨励しています。
 私自身は保育士として携わってきた経験から、特に保育所は民間に任せることだけではなく、市が責任をもって運営することにより公平に保育の質を確保できると考えます。しかし、横手市は保育所整備計画を策定し、将来的に全施設を民営化するという方向を打ち出しました。現在は、利潤追求を基本とする株式会社も市内の事業所内保育所を運営しています。また、公立保育所においても、子ども達への接し方などで質の向上が求められる場面など、様々な議論の余地があります。そのようにひとつひとつ問題を的確に把握し検証していくシステムが、横手市として必要ではないかと強く思います。市長はその点をどうお考えでしょうか。


 以上で私の質問を終わりますが、冒頭で申し上げたように、今、この国は、これでもか!これでもか!というくらい、住民生活を直撃している現実があると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 しかし、たとえ、いくら国が現行憲法を変えて、為政者としての責任を棚にあげ、国民の義務を挙げ連ねようとも、人は、この世に生まれてきた以上、自分の住む地域や地方が住みやすい場所になるように動き、働きかけをするものではないでしょうか。それがひいては住みよい日本の国を造り、そして地球規模で平和に幸せに生きていけるように力を尽くすのが人間だと思います。
 実例をあげると、今から40年ほど前、主に首都圏では光化学スモッグと言われる物質によって空気が汚染されていた状況を、住民の粘り強い運動の結果、克服しました。子どもの医療費も、未だに国は無料化を認めていませんが、全国の人々の切実な要望と、それを実現しようとする運動を持続させることによって、少しずつ拡充されてきたこともまた事実です。
 地方から国を動かしていくことこそ、真の意味の地方創生であり、市民みんなで知恵を出し合い、子育て関係の施設もたくさん対象とされている財産経営推進計画(FM計画)も、住民との話し合いをもっと徹底し、住民の意思を第一義にとらえてまちづくりを進めなければ!と再度呼び掛けさせていただき、私の壇上での質問を終えます。













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