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              2015年6月議会一般質問
 
 「2015年6月議会一般質問」

 日本共産党の立身万千子です。
横手市は合併後10年が経ち、週末には記念イベントが成功理に開催されました。中学生の活躍や伝統のお祭りからストリートダンス、高校生の書道パフォーマンス、B-1グランプリの覇者が勢揃いと、壮大な規模で10周年を祝った横手市は次の20周年に向け、観光を柱にして、農林業・商工業と地域経済が発展していけるように、今回の経験を活かしていかなければ!と参加者たちで語り合いました。
 もちろん観光振興は重要な施策であり、私も、横手市観光協会の一会員として地元の文化芸術をこよなく愛し、貴重な観光資源を最大限開発できるように力を尽くす所存です。
 しかし、こうしてフェスティバルを繰り広げることができるのも、平和な社会あってこそです。今や与党の中からも批判を浴びるほど「戦争への道」を急ぐ安倍政権に、国民の多くが危機感を抱いているのではないでしょうか。私が今回市長にお尋ねするテーマである「地方創生」も “安倍流「富国強兵」型国家づくりの地固めではないか”と憂慮する動きがマスコミでも報道され始めました。
 安倍首相の「政権公約2014」にある次の文章が、それを物語っていると思います。即ち「道州制の導入に向けて、国民的合意を得ながら進めてまいります。導入までの間は、地方創生の視点に立ち、国・都道府県・市町村の役割分担を整理し、住民に一番身近な基礎自治体の機能強化を図ります」というくだりです。
 また、日本経団連も、道州制を「究極の構造改革」と位置付けており、国の役割は外交・軍事・通商。10ヶ所程度の道州政府は産業基盤・経済政策・高等教育政策などを受け持ち、人口30万規模の基礎自治体(地方政府)は300ヶ所ほどにして、医療・福祉・義務教育など住民に身近なサービスだけを担当する。という青写真です。従って、道州政府も地方政府も、例えば三沢などの基地から危険な戦闘機が飛び、事故が起きても、国に対して何も言えないということになります。自衛隊員の家族の方々はこの横手市にも大勢おられますが昨今の国会の動きを見て心配していました。「身内が国民を守るために頑張っていることを誇りに思う。でもアメリカ軍が他の国を攻撃するための物資を輸送する途中に命を落とすのはやりきれない。この思いを国に届けたい」という痛切な願いも跳ねのけられてしまうことになるのです。
 今、私たちの暮らす横手は、人口10万を切りました。いわゆる増田レポートの自治体消滅論を大前提にした「地方創生」の理論によれば、横手市は、人口20万の中核都市と広域連携の契約を結び、かろうじて「小さな拠点」の位置を保つといった状態にさせられてしまうことを私は危惧しています。けれども、現実はどうでしょうか。
 増田レポートで「消滅」と名指しされても、出生率を伸ばし、地域内の経済を循環させるとともに、地域の誰もが安心して住み続けられるように、きめ細かな地域づくりをしている市町村が出てきていることを、私たちは学んでいくべきではないでしょうか。
 そのような小規模自治体の優れた地域づくりについて、私たち議会は職員さん達とともに、昨年から横手の実情を分析して共助組織の発展を応援してくれている川北秀人氏の研修会で学んできました。川北氏は「人と組織と地球のための国際研究所」の代表をされており、概ね小学校区単位の地域に必要な様々な活動について、その地域の人々が主役となって担う、住民自治の仕組みを「小規模多機能自治」という言葉を使ってお話されました。昨日、寿松木議員が紹介された市内4つの共助組織も、集落の人々が自力で助け合っていく活動が総務省の評価を受けたわけです。この横手で生きていく私達は今こそ、その学びを活かして施策を工夫する時ではないでしょうか。以上を踏まえて最初の質問をします。


1. まず「地方創生」について、


@国が意図する「地方創生」を市長はどう捉えておられるか、お尋ねします。私は今述べたように、国の意図は「人口20万以下の地域を自治体として認めない」ということだと判断しますが、この横手市を背負って立つ市長のお考えを伺います。

Aそうは言っても、自治体として計画・戦略を立てなければ市政運営に必要な交付金を得られないのですから、国の求める戦略計画等の策定作業は進めなければなりません。そこで来年度からの「横手市総合計画」と、国から急がされている「横手市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定作業をどう進めていくか、今議会は議員諸氏の質問が相次ぎました。
 これまでのご答弁によれば、市長のお考えは「総合計画が市政運営の根幹であり、子育て支援と雇用創出の2点を重点目標とした総合計画を担当部ごとに部長を配置し、有識者の参画を得て子ども・若手職員の意見を汲み上げる」とのことでした。
 市長が言われる通り、市民の拠り所はあくまでも「総合計画」であり、それを要にして「総合戦略」も「FM計画」も立てていくものと私も考えます。ただ、総合計画と総合戦略の策定スケジュールを見ると、総合戦略を策定するために必要な「地域経済分析業務」と「若者意識調査の実施と分析」は専門の業者に委託し、将来の人口ビジョン策定の中で分析結果を総合計画に活かすという方向について私は心配なところがあります。とりわけ若者の意識調査について、すでに今月から着手しているようですが、全国一律ではなく、横手市に住む生産年齢の若者か、あるいはこれから社会に巣立つ年齢か、都会から帰ってきた人達か、悉皆調査か抽出調査か。「総合戦略」以前に「総合計画」の策定作業を進めるにあたり非常に重要な要素になるのではないでしょうか。加えて、第一次総合計画策定にあたっては公募も含めた市民の策定委員会が中心になって進めた記憶がありますが、パブリックコメントと各地域づくり協議会だけの諮問では不十分ではないかと思います。それらの点を市長はどのようにお考えでしょうか。


2) 次に、国の「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」を活用した2つの地方創生事業について質問します。


@「地域消費喚起・生活支援型」は実施主体である実行委員会での検証を、どう行ないながら進めていかれるのか伺います。
 3月議会での補正予算で決めざるを得ないという“限られた期間“を国から強要された当局のご苦労は察するに余りありますが、6月1日の市報を目にした市民が「プレミアム商品券」というものをどう受けとめているでしょうか。高齢者のための消雪・融雪推進事業については、物を買って設置するのに助成はもらえても電気代が嵩むため利用申請がどれだけあるか、せっかくの市民サービスが提供しきれるか心配なところです。ただ、最近のTVニュース等によれば、プレミアム商品券を半額のホテル宿泊用に1万4000枚用意したところ、4分で完売した自治体や、「お得な買い物割引券」として、エアコンやスタッドレスタイヤ等々を購入するためにプレミアム商品券の販売所に長蛇の列をなす自治体が出てきています。これまでの地域振興券や定額給付金の教訓から、一過性で終わることのないよう、市内の商店街活性化という目的のためにも商工会等で活発な宣伝活動を展開してもらうなどの他、子育て福祉分野など他自治体では取り上げていない独自のものを創造する工夫を凝らし、やるからには徹底した取り組みを促進するべきと考えるものです。
 市内の商業団体などで構成される実行委員会が市当局とともに最後まで責任を持ち、ぜひとも前向きな検証を実施して頂きたいと思いますがいかがでしょうか。

A 二つ目に「地方創生先行型」の取り組みにおいて、昨年度の「庁内人口減少対策プロジェクトチーム」の提言を、どれくらい反映させたのかお尋ねします。PTに志願された皆さんは、職員として、また住民として真剣に知恵を出し合い42件の提言をまとめられました。それが自治日報などで取り上げられ、全国の自治体間でも突出した取組みとして紹介されています。その提言の中には、以前の議会で佐藤誠洋議員が取り上げたeconomic gardening構想が、より具体的に提案されています。日本語では「地域内経済の活性化」という意味であり、まさに市内の農商工団体等との連携がカギになると思われます。当時の市長答弁を受けて、担当課ではどのように実践に結び付け、今日に至っているでしょうか? そして現在事業化している取組みはもちろんのこと、PTの提言はぜひ戦略として活かすべきと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。


3)次に、横手市財産経営推進計画(FM計画)について伺います。


 そもそも、なぜこのような公共施設の再編問題が浮上してきたのかを見るとき、自治体の財政悪化と公共施設の老朽化、そして人口減少という背景の下に「地方創生」と連動させて、住民が「過疎地域には最早住めない」と諦め、より利便性の高い中核都市のような地域へ集中するように誘導する、国の意図が働いていると考えざるをえません。黙っていれば結果的に、横手市民は秋田市もしくは盛岡市と広域連携協約を締結し「連携中枢都市圏」の中で生活することになる恐れもあります。
 目下、市当局では900を超える公共施設について検討中とのことですが、それぞれの地域における施設が、住民にとってなぜ統廃合の対象なのか、別の使い道がないのか、施設がなくなっても地域コミュニティが存続するにはどうしたらよいのかなど充分な議論が必要だと考えます。その意味から次の二点を質問します。

@ 市長が所信説明で言われた「大型の多機能型体育館」(仮称:横手アリーナ)を建設することと、FM計画との整合性をどうとるのかを伺います。確かに市内の体育館も市民会館も新しくはありません。文化芸術の興業を行なうにも中途半端な規模ではあります。しかし防災の面では災害で道路が寸断された場合に市民や後方支援車輌がそのアリーナまで迅速にたどり着けるのか疑問です。この3日間の一般質問で財源について多くの質疑応答がありましたが、全国のアリーナ建設では平均80億〜100億円以上の建設費を要し、年間維持費が3億円以上に及んでいます。公共施設の統廃合や削減を主とするFM計画の策定を国から急ぎ、義務付けられているとき、秋田県のトップでさえ「今は財源がなくこれからの建設は無理」と言っています。市長は「FM計画との関連では長期的・機能的なバランスを考慮する」と言われましたが、私は納得致しかねます。今一度お答えをお願いします。

A 温泉施設のコンセプトについてです。大雄地域の温泉施設は経営形態が指定管理から直営に替わりました。もはや市内各地域に存在する温泉施設は産業や観光ではなく、健康増進と医療費抑制に目的を変えていく必要があると思われますが、市長は施設の設置責任を含め、いかがお考えでしょうか。
 さらに言えば、限界集落的な地域に住む高齢者の冬季滞在の場としての活用も、今後は必要になると思われます。地域包括ケアの一環として温泉施設の活用をぜひ実現することを望むものです。



2、最後に市役所の組織機構についてお尋ねします。


 市長は所信説明で「まずは、市民の皆様にご迷惑をおかけすることなく、新体制に移行することができた」と言われました。果たしてそうでしょうか。一例を挙げれば「県から委嘱されて市内で活動する男女共同参画推進員(F・F推進員)が前年度の活動報告を最寄りの市町村担当部署に提出する際、これまであった男女共同参画推進室がない。市報にも何も書かれていない。どうなっているのか?」という声がありました。市民協働推進室と兼務で事業が実施されてきた経緯から「まちづくり推進部」に移ったという説明を後日受けましたが、庁内での論議が尽され、かつ市民の理解を得ての結果なのか非常に疑問です。
 男女共同参画という言葉が市民に馴染みにくいというので、少子化対策や商工労働対策などと兼務にし、市民に対する意識啓発を推進している自治体もありますが、横手市は市民協働という切り口から市民における男女平等の意識を向上させていこうと、合併時にこの部署を(課ではなく室と)位置づけたと記憶しています。しかし実際は行事をこなすことが第一義となり、男女平等はおろか市民協働の意図も薄れてきたのではないかと私は懸念します。自主的な市民活動の高揚は歓迎しますが、行政が事務局を請け負っての市民活動は、市長が強調される「より質の高い市民サービスを提供する」こととは違うと思います。組織を形成する職員の満足度が高まらなければ、市民サービスの受け手のほうも満足度は上がらないということも重要ではないでしょうか。その意味で、市役所職員自身が組織再編の目的や意図をしっかりと理解し意欲的に働けるよう、市長は職員との意思疎通を基本姿勢として行政組織を構築して頂くことを切に要望します。


 以上で私の質問を終わります。今回の一般質問では議員諸氏が様々な角度から「地方創生」について取り上げました。私がこれまで述べたように、国による「地方創生」の推進は、一面では人口減少と地域経済の低迷に苦しむ地方に「光」を当てたように見えます。 しかし残念ながら実際は「道州制にもっていくための、弱小の地方切り捨て路線」の一環ではないかと懸念せざるを得ません。それに対抗するには住民自治、集落やコミュニティ自治の力が問われることになると痛感します。
 地域の様々な主体が、自分たちの眼と耳、口と足で地域を総合的に把握すること、それを踏まえた取り組みで、トップダウンではなく、ボトムアップ型の計画づくりと実施組織づくりを進め、誰もが暮らしやすい地域づくり運動を展開していくことで、本当の意味の「地方創生」を成し遂げようと呼びかけて終わります。












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9月議会が終わりました

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2012年6月議会一般質問Q&A

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平成24年度一般会計予算案に反対の立場で討論

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3月議会厚生常任委員会報告U

3月議会厚生常任委員会報告T

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