議会のようす 
                                      

       2015年12月議会一般質問
 
 日本共産党の立身万千子です。
 2015年もあと数週間となり、今年の流行語が話題にのぼりました。その中で「seald’s」や「アベ政治を許さない」といった言葉がトップテンに入るほど、日本の国の平和を願う国民の声が自発的に大きなうねりとなった一年間だったと思います。
 そのように国民からは「暴走政権」と言われながら、安倍首相は「一億総活躍社会」をつくると言い、地方自治体には「まち・ひと・しごと地方創生」と声高に号令をかけ、交付金をちらつかせて総合戦略策定の期限を迫っています。
 先月、福島市で開催された全国市議会議長会研究フォーラムにおいて、パネラーのお一人が「地方創生のための議会の役割」について、こんな意見を述べておられます。曰く「真の意味での地方活性化という地方創生は、地域の人々の内発的な思想と行動がなければ成功しない。議会の役割は、国からの指令に右顧左眄しがちな執行部に対して、ぶれない重心の役割を果すことである。恣意的に配分される補助金・交付金を目当てに、国の官僚に罵詈雑言を言われるだけのビジョンや総合戦略の策定に力を注ぐよりも、地域社会と民間市場経済の動向に目を向けるべきである」という意見でした。
 このことは今、私たちが真剣に耳を傾けなければならないのではないでしょうか。
 折りしも、わが横手市は第2期の総合計画を策定中です。今後十年間で推測される人口ビジョンを見ると、693kuの広大な市内の大半が中山間地という地理的条件の下で、出生率は減少を続けながら、高齢化率は4割台にのぼるという予想です。市長はそれを踏まえて総合計画策定の柱に「雇用」と「子育て」を掲げられました。そのための戦略を練り、財政基盤を確保しつつ政府の意図にかない得る施策を、横手市の総合戦略として総合計画より早く打出さなければなりません。
 「地方創生とはアベノミクスの失敗のツケを地方に押し付けるものだ」と中央政府を批判はしても、自治体財政の現状を鑑みるとき、総合戦略の策定を急がざるを得ない行政当局の苦労は並々ならぬものとお察ししますが、雇用創出も、子どもを生み育てる支援も、市民にとっては「安心して生きていける心身の健康」が土台になければならないと強く思うところです。
 そこで私は、今回私たちの住む横手市の総合計画を策定していくにあたり、市民がめざす地域医療と地域包括ケアの具体化をテーマに質問いたします。


1、 始めに横手市における地域医療の実態について質問します。
総合計画策定に先駆けて実施した市民アンケートの結果をみると、横手市の良いところは「医療機関が充実していること」が一番に挙げられています。同一規模の自治体で比較しても、わが市には2つの公立総合病院があり、厚生連の総合病院もあり、かかりつけ医療機関が市内77箇所に開業している現状は、市民にとっておおいに安心して生活できる点であろうと思います。
 しかしこの恵まれた環境も、国の医療政策が変遷する下で、市民の不安・懸念がつのる状況に変わってきたことは否めません。
 医療従事者、特に医師不足の深刻化、そして毎議会のように提出される「医療・介護現場のスタッフの処遇改善を求める陳情」に表される現状を踏まえた上で、次の2点を質問します。
@ 一つ目に、日々進化を遂げる医療に携わる人は、常に専門職としての研鑽が要求されますが、医師・看護師を含め、医療職の研修体制の状況と課題をお聴きします。
A 二つ目に研修医の地域医療実習の状況を伺います。
 横手病院は研修医の指定病院、大森病院は協力病院だと伺っておりますが
1) まず一つ目に、その研修医の皆さんは、各病院で指導担当医師の下に、往診や医学講座・健康講話等々に参加したり、地域や職域の健康診断に参加する機会を与えられているのでしょうか。
2) 二つ目には、研修期間中の時間外勤務や当直回数は妥当でしょうか。又こうした研修医を受け入れることによって医師不足の解決に向けた何らかの道筋が期待されているでしょうか。この2点について、お答えください。


2、 さて、次の質問に移ります。医療介護総合確保推進法成立に際し、各医療機関に課せられた「新公立病院改革プラン」を策定する課題について、質問します。
 昨年6月に国会で強行に成立された公立病院改革関連の法律、所謂「医療介護総合確保推進法」により、従来の公立病院改革ガイドラインの中の3つの柱、即ち「経営の効率化」「再編やネットワーク化」「経営形態の見直し」に加えて、新たなガイドラインには「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」という4つ目の柱が据えられました。これまでの、許可病床数に応じた交付税措置に代わり稼働病床数に変更して財政面での効率化を図ることや、医療の質の向上を目指す様々な数値目標を設定して各医療機関を評価する方式などが導入されます。
この法律に見合った改革プラン策定にあたり、次の3点について質問します。
@ 一つ目は、新ガイドラインに基づき、高度急性期・急性期・回復期・慢性期と病床機能を4つに区分することを徹底されることになります。それによる両病院への影響はどうか、お答えください。
A 二つ目に、法律に明記されているように「施設から地域へ」「医療から介護へ」という流れの下で、病院事業はどう変わる方向か伺います。
  具体的には、訪問診療・訪問リハビリテーション・訪問看護・訪問介護を、どう充実・連携させるかをお答えください。
B 三つ目に、経営形態の見直しについてお考えを伺います。
 今申し上げたように、2007年の旧公立病院改革ガイドライン以降、統廃合と診療所化などの縮小再編が行なわれました。さらに自治体直営から「公設民営」「指定管理者制度」「地方独立行政法人」などへ運営形態の変更も行なわれ、2013年度をみると、経営形態を見直して地方独立行政法人となった66病院のうち20病院が赤字となっており、現在の低い診療報酬では、経営形態を見直したとしてもそう簡単に黒字転換することは困難と言わざるを得ません。それらの点を踏まえ、横手市の公立病院の経営形態について、市長はどうお考えでしょうか。


3、 最後に、地域包括ケア推進のために、関係者の会議がどのように展開されているのか質問します。
 政府の専門部会である「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」における今年6月の報告書によると「地域医療構想の策定が、あるべき医療提供体制の構築や、今後必須となる地域包括ケアシステムの構築に向けた改革の新たな展開の一つとなる」とあります。医療と介護の連携やネットワークを図ることは重要と私も理解しますが、病床機能の4区分を徹底させて慢性期の病床削減を進め、経営の効率化=医療費削減の目的が即ち地域医療構想の実態ではないかと受け取らざるを得ません。
 そもそも地域包括ケアシステムとは厚生労働省のHPによると「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮しを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」ものであるとしています。賛同できる理念ではありますが、国の責任も、担うべき人材も地域にマル投げする意味だということが同じHPに書かれてあります。「地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要」という文言の中で、国の責任はどこにも見あたりません。
 その一方で厚生労働省の保険局医療課長自身が指摘している次の点は非常に深刻です。「狭い意味での公的な医療・福祉費に限定しても、在宅ケアは施設ケアに比べて安くはなく、むしろ高くなることは日本でも世界でも学問的にはもちろん、政策レベルでも確認されている」と断言しているのです。
 私たち地方自治体の住民は、国に対し、医療・介護における公費の増額を求めることと同時に今、様々な分野で市民や団体が地域包括ケアを進めるために活動している現状を、しっかりと確認して本当の意味でのネットワークを構築していかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 地域包括ケアシステムを機能させるには、行政が軸となって関係者の会議や段取りを進める役割を担っていくべきと考えますが、我が横手市では現在どのように連携や充実させる活動が展開されているのか、お聞かせください。


 以上で私の質問を終わりますが、今、国は、地方創生の名の下で「自治体に地方版の総合戦略を作るように。それがなければ地方は消滅してしまう。」と強調します。しかし自治体は自治権を放棄しない限り、消滅しません。
 今回私は、地域医療について質問しました。けれども医療だけでは住民の不安そのものを解決することはできません。住民も地域医療の当事者であり、住民意識の変革が必要であって、不安・無関心・他人任せをなくしていくには、自分の体や病気について関心を持ち、医療や健康について学ぶ仲間を持つ、即ち「人と人をつなぐ」ことが重要であると痛感します。それが行政やコミュニティの役割であり、国のやり方が自分たちの地域自治に反すると判断すれば声を上げて直していくのも自治であると考えます。国の医療費削減が始めにあるのではなく、国民・市民が地域で支え合い、見守り合いながら自発的に健康寿命を伸ばしていく、その核になるべき公立病院を私たち、市民と行政とで守っていくことを訴えて質問を終わります。











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