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3月議会 一般質問
日本共産党の立身万千子です。2016年も2ヶ月が過ぎました。
今冬は気候変動により大変ご苦労された雪祭りも、盛会裏に開催できたことは大きな喜びでした。一方では除排雪での事故をなくすことができず、残念なかぎりです。来年度こそは誰もが安全に安心して暮らせる横手市にしていきたい…このことは、市民が一番望むことであり、それにこそ私達は全力で取り組んでいかなければならないと、改めて強い決意を持ったところです。
さて、この3月議会に、これからの10年をどんな横手市にしていくか市民による策定委員会から市の総合計画案が提出されています。同時に国の地方創生論の下、総合計画とリンクするのが横手市版総合戦略でありこれは今年度中に決めてしまわなければ交付金が手に入らないという切迫した状況です。
平成28年度の予算編成は、総合戦略に則って重点的に厚い部分はあっても、おしなべて5%ずつ削減した内容が提案されました。
ここで私は「地方自治の本旨とは住民福祉の向上である」という原点に立ち帰らなければ、将来にわたって横手市の発展はないと強く思います。大きな夢も大切ですが、最優先課題は市民の暮しをしっかりと守り支えることではないでしょうか。そこで私は次の通り、市長のお考えをお聴きします。
1. 始めに市長が施政方針の中で4ページ以上にわたり強調されている多機能アリーナ構想についてお尋ねします。
この構想は、9月議会で唐突に市長から提案がありました。
議員全員で提出し、制定した「スポーツ立市でまちを元気にする条例」第5条「スポーツ環境整備」の中の努力目標を引きあいに出され、「アリーナ建設に反対の議員がいるとは思わなかった」と市長は言明されました。将来にわたって財政等様々な条件が整っている保障があるならば、多機能アリーナは「あれば いい」とは思います。しかし私は、現時点で、とりわけ3つのことについて不安・疑問を払拭できません。
@ ひとつは維持管理費用について。A二つ目に事業展開について。B三つ目には、想定されているイベントの経済波及効果について、それぞれに納得のいくお答えをお願いします。
@ 具体的な問題で一つ目は、維持管理費用についての問題です。
私は直営での運営は率直に言って困難と思います。けれども民間が運営することは、当然利潤を追求するわけですし、指定管理・PFI・PPPなどのいずれにしても、コストの縮減を図ることが想定されます。人件費はじめ水光熱費や修繕費等々について、市側のチェックをどう厳重にし、将来にわたって適正な管理運営が確保されるのかが極めて重要です。その点はいかがでしょうか。
A 次に、事業展開について伺います。
1) まず防災拠点についてですが、市内が被災した場合、地域防災の機能が果せるでしょうか?道路等の寸断が避けられないとすれば、避難経路や災害時要援護者名簿に則っても、赤坂総合公園に遠い地域からは辿り着けません。せめて増田・雄物川・横手の体育館と最寄の学校校舎が現実的な頼みであって、いかに5000人を収容できるとはいえ、アリーナが地域防災としての役割を充分果たすものであるとは、とうてい思えません。
また、県では由利本荘市も大仙市も災害時後方支援の拠点を確保することを良しとしています。つまり、ある意味では他地域との競合になってしまいます。現存する防災センターで頻回に物資を集積し運搬する機能は充分と、予想できます。
何が何でも防災拠点にするのは現実的な考えとしては非常にムリがあるのではないでしょうか?
2) 次にスポーツイベントについて考えるとき、今より以上に充実させたいとするならば、例えば現在活動している、将来の担い手であるスポーツ少年団の遠征費補助さえ充分に手立てできていない状態を、どうお考えでしょうか?
また、子ども達のみならず様々なグループや団体等々が、少子高齢化や財政難のためにその活動や運営が非常に難しい現状にあると耳にします。今の子ども達や市の支援を要する市民を大切にしないでおいて、新たな大会誘致のために大型施設を造るというのは本末転倒と言わざるを得ないのではないでしょうか。市長、いかがですか?
3) 芸術文化事業について伺います。5000人規模を集客できるアーティストのコンサートは、確かに魅力的で私も「あったらいい」とは思います。しかし年間の使用頻度を一定程度見込まなければ維持費で破綻してしまうという危惧が拭えません。さらに言及させて頂くと、大規模な興行でなければ「本物」に触れられないのか?或いは文化水準が向上しないのか?と言う疑問です。私は、20代のころから親子で映画を視る会や、絵本の読み聞かせ・おやこ劇場そして大人達の市民劇場などに参加してきました。また横手市では十文字映画祭など今も色々な活動が展開されています。それらの経験からも、上質で心に響く、小規模な文化行事はたくさんあります。市長は、この点をどうお考えでしょうか?
4) コンベンション・見本市などの開催を招へいするとのことですが、これまで、隣接する赤坂地域にある県の施設「ふるさと村」全体で展開してきています。同類の施設を同じ地点に並べることの影響をどう捉えておられるでしょうか?
B 次に想定イベントの経済波及効果について伺います。
年間12.1億円の具体的根拠をお聞かせください。
振り返れば、昨年6月に開催された「横手Tbelieve」や10月に開催された「日本のまつりinあきた2015」などにおいて、どれほどの経済波及効果があったか、差し引かれた経費はどんな費目にどれほどあったのか、私たちは財政報告を頂いておりません。この二つのイベントだけでも商工会・商工会議所・観光協会他の事業所等における収支報告を参考までに頂くことはできないでしょうか。
全国的にみて、こうした施設は建設後の維持管理が非常に困難だと聞いております。アリーナ構想は、市民にとっては「ないよりはあった方がいい」と思うのは当然のことです。しかし私達は、税金の使い道の問題、文化や教育・観光物産などの効果の問題、将来にわたる市の財政問題などしっかり議論し、方向を見定めることが、今、何よりも大事と思うのですが、いかがでしょうか?
2. 次に、市長が「横手市の重点課題」と位置づけられた柱のひとつである「人と地域が燦くまち」をつくるにあたって大きく二点の質問をします。
@ 「横手で家庭を持つ若者を増やす」ために、子育てにおける経済負担を極力減らす方策を伺います。もちろん雇用や出会い、結婚も大切な要素ですが、子育てに経済的な支援が手厚い自治体にはわざわざでも移り住みたい若い世代が多いという事例が先日テレビのニュースで報道されました。合計特殊出生率が「驚きの2.81」と紹介された岡山県奈義町です。徳之島の伊仙町と同じ数値に達しました。
ここでは「どの自治体でも子育て支援策を2つや3つは実施しているが、考えられる施策全部に取り組んできた結果」だということでした。出産祝い金はもちろん、高校卒業までの医療費の完全無料化・また育英金(奨学金)は卒業後奈義町に帰って定住した場合は半額返還免除・高校等への就学支援金など、文字通り切れ目のない子育て支援策を講じています。このような先行事例を参考に、私は次の5点について「子育て日本一のまち」を目指す市長のお考えをお尋ねするものです。
1) 県が8月から福祉医療の拡充を実施する方針を出しました。
横手市も中学生の通院医療費を無料にし、更に所得制限を設けないことを評価するものです。出来れば、中学生の新入学や転居等で学校育英会の補助がない場合の通院等を考慮し、4月から前倒しで実施することを希望します。県内では先行事例もあるとのことですが、市では4月実施が出来るか否かの検討をされたのでしょうか?
2) 保育料の保護者負担(公定価格との差)を補助できないかお尋ねします。
特に、3歳未満児は保育士の配置も手厚いために高額で、所得のあるなしに関わらず、保護者は難儀している状態です。第3子の保育料を無料にするというところもありますが、まず第1子を生み育てることの後押しになると思いますので、ぜひ前向きなお答えをお願いします。
3) 就学援助の基準を引き上げることはできないか伺います。
昨年、国によって、生活保護費の基準が下げられました。保育料・介護保険料などすべてがその基準を源に決められています。横手市は現在、生活保護基準の1.3倍が就学援助の基準ですが、1.4倍にしている自治体もあります。義務教育の9年間は、経済的な不安のない生活を子ども達に送らせたいと思いますがいかがでしょうか?
4) 学校給食費の無料化を思い切って実施できないかお尋ねします。
滞納者も含め無料にすることで、子育て世帯の負担は減ります。地産地消を追求することで、安全安心な食材を子どもに、一日一回でも食べさせられることの意義は大きいと考えます。今や日本の子どもの6人に1人が貧困と言われており、横手市でも学校の給食が唯一の食事という子どももいる!と栄養士さんは嘆いておられます。ぜひご英断を求めるものですが、市長のお考えはいかがでしょうか?
5) 次に、奨学金を返済しなくていい給付制にできないかというお尋ねです。
奨学金を返済することで、学生は就職と同時に借金地獄に陥ってしまうことが社会問題になっています。せめて、横手市の奨学金だけでも給付制にできれば長期的展望をもった子育て支援として中学から高校、ひいては地元に根付く親子が増えるのではないかと考えます。ぜひ市長のご決断を求めるものです。
A 最後に、昨年の調査では高齢化率33.3%、早晩4割になろうとする横手市の現実を見据えて、次の2点を質問します。
1) 介護保険の制度改正による市民への影響を、開始した27年4月からの一年間、どう検証されたのか、お聞かせください。
即ち、要支援1と2は介護保険から除外され、要介護3未満は特別養護老人ホームに入所できなくなったこと。さらに8月からは年金のみの世帯でも年間所得が200万円を超えた場合の利用料を1割から2割に引き上げることなど市民にとっては非常に使いづらい介護保険になりました。横手市は、27年度当初からその分を総合支援事業でカバーしてきましたが、大多数の自治体では、一般財源からの捻出や介護の担い手確保などに苦慮しつつ、来年度から不安ながらも開始に踏み切るという実情があります。そんな中、わが横手市は市民の不安や疑問を払拭できる手立てをどんなふうに講じてきたのか、市民への影響と、市の取り組みを、どう検証されたのかお聞かせください。
2) 次に、障害者福祉における、65歳時点での介護保険適用に移行する問題について、伺います。
国の障害者自立支援法が8市町村の合併後に施行され、今度は障害者総合支援法の制定と、障害を持つ方々に関する法律がコロコロ変わってきました。その流れは「介護保険優先原則」という理由付けで、国の経済負担を減らすものであることがはっきりしています。横手市では今年度、何人の障害者の方々が対象となるでしょうか? 現に対象者が介護保険の適用に移った時点で、例えば障害者福祉の適用では週3回だったホームヘルプが週2回に減らされ大変困ったという事例があります。この差額について、市独自に手立てができないかという市民の相談が増えています。市長はどうお考えでしょうか?
以上が私の通告した質問です。
予算議会と言われるこの3月定例会において、28年度は、各地域局予算でも各部署の予算でも5%削減の緊縮財政をとらざるを得ないと、市長は施政方針で言及されました。それほど逼迫している予算編成において、いかにすれば市民生活を守り、横手市が将来に向けて発展できるかを論議する必要性を痛感します。明日への挑戦も大事ではありますが、そのためにも日常の安心を優先することが9万市民への私たちの責任だと考えて、今回の質問を致しました。
市民の皆さんに向かって「4年後には大きく飛躍できる多機能アリーナができるから、それまで我慢して横手に暮らしてほしい」とは言えません。
市長は「座して死を待つよりは、可能性に賭ける」という発言をされていますが、どんどん生きづらくなっている世の中にあって、市独自で手立てするべき施策はたくさんあるという意味で私は縷々述べてまいりました。先日の会派代表質問で論議されたように、今や、市町村同士がただ単に競争する時代ではありません。私は増田寛也氏の考えには賛成しませんが、彼によると秋田県では大潟村以外はすべての市町村が消滅するとのことです。冗談ではありません。何度も申し上げてきていますが、自治体は自治権を放棄しない限り、消えることはないのです。周辺の市町村と共生して、より豊かな地方・地域を築き上げることこそが重要と考えます。ハコモノを建てて、維持費が回らなくなればその先は将来世代に負担を残すだけとなります。この苦い教訓をこれまで何度となく味わってきた歴史を、私たちは冷静に振り返るべきではないでしょうか。
性急に事を進めるのではなく、この際もっと時間をかけて適切な答を出すために「一時取り下げる」という市長の勇気ある判断があってもいいようにさえ私は思います。
最後になりましたが、今年度をもって勇退される職員の皆様には8つの市町村合併という難しい局面を全力で乗り切って頂きました。私ども議員はこれからも、地域のリーダーとしてご活躍される皆様とご一緒に、横手市の明るい未来を築いていくことを願っております。長い間ありがとうございました。
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