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「2018年度特別研修の報告」 立身 万千子 8月10日 地方議会議員セミナーin東京(アットビジネスセンター池袋) 第一部「空き家に関する地方公共団体の取り組み」 講師:神奈川大学法学部教授 幸田雅治 氏 受講項目①空き家に関する現状と課題 ②空き家対策条例の制定状況 ③空き家対策措置法の問題点 ④空き家対策に関連する法的諸問題 ⑤議会・議員の役割 ⑥ごみ屋敷対策 ⑦都市環境の視点から見た空き家対策 1 空き家に関する現状と課題について ・問題発生の根本原因は住宅政策+都市政策である。 ・空き家率(総住宅数に占める割合)=13.5%(分母も分子も増加している) 特に、アパート等の共同住宅が増加・長期不在の一戸建ても増加中。 ・世帯数は一定程度増加しているが、2040年をピークに将来の人口動態は、高齢者をはじめとして5000万人弱まで減少する見込み(明治末頃の規模) ・空き家の発生による問題:防災・防犯低下。景観悪化。衛生悪化。 2 空き家対策条例の制定状況について ・平成22年7月、所沢市空き家等の適正管理に関する条例が初。 ・平成27年に431条例が制定される(横手市も)←問題の深刻化を表す。 ・様々な特徴:住宅地に適用される固定資産税の軽減(見附市は2年間) 指導・勧告に従って措置を行なうものに対し助成する(足立区) (足立区=木造密集地域を多く抱える地域独自の事情)・京都・神戸の例 3 空き家対策特措法(平成26年11月27日交付)の問題点 ・「空き家対策計画を策定できる」規定だが策定しないと補助金なし。 ・この法律制定時に条例制定済みの自治体はすでに401あった。 ・既存条例ではすべての空き家に対し「助言・指導・勧告・命令」を行なうことができ、緊急の必要がある場合には、助言・指導・勧告を省略して即座に解体を実行できるが、特措法では省略できず倒壊への迅速な対応できない。 ・略式代執行は条例に明記しなくても自治体は可能。国の責務規定はあっても、代執行費用、除却費用は自治体が負うことと法律は明記している。 4 空き家対策に関する法的諸問題 ・(議員が相談を受けたと仮定し)まずは実態把握…行政が対処すべきか判断 ・(条例・法律の適用の観点から)空き家の認定…使用がなされていないことが常態であり、別荘などの二次的空き家か長期不在か等々の調査を→所有者の把握…相続人不明事案かor 相続放棄事案か=一番難題!どんな場合に立ち入り調査できるか。 5 議会・議員の役割=個々の対話の積み重ねが政策になる! ・議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策として議決事件の追加が第29次地方制度調査会で答申されたことで、自治体の総合計画策定をはじめ、空き家等対策計画も議決事項にするべき。 6 ゴミ屋敷対策…中に人が住んでいる→空き家ではない。 ・居住者の心身への配慮が必要・何等かの障害や病気等による=この解決を。 ・調査→指導・勧告→命令→公表→代執行…郡山市の条例など多いケース これに加え「区への委託」「支援」のケースが足立区。世田谷区は支援中心。 7 都市環境の視点から見た空き家対策 ・日本と欧米諸国の既存住宅流通の現状をみると、日本は13.5%に対し欧米諸国は7割~9割(日本:景気対策として新築ラッシュ)の住宅政策。 ・税制:築何年で評価する固定資産税→長寿命化の未定着。 ・都市政策問題:都市周辺部における未管理空き家の増加。 コンパクトシティ政策(都市再生特措法改正)→地方都市の衰退 元来城塞都市である欧州のコンパクトシティとは違う ・まちづくり計画の中に空き家をどう位置づけるか? 地域独自の実情に、再度立ち戻って様々なアプローチがあるはず。都市計画・住生活基本計画・景観計画等とのリンクが必要。 ・諸外国との比較:英国=家賃補助多額。公営住宅普及 仏国=日本と逆で空き家の固定資産税のほうが高額 ・尾道空き家対策専門家協議会「ぎゅっと onomichi」 空き家バンクの管理運営をNPO法人=専門家集団がマッチング ・中土佐町の定住促進中間管理住宅事業 町内の空き家を町が10年間借り上げ、国・県・町の予算で耐震化や水回りなどの改修をし、町が管理するとともに移住希望者や定住希望者等へ貸し出しを行う事業。(移住者へ上限100万円補助) まとめ:放置すれば危険度が増し、全国的に解決が急がれる空き家問題だが 個々の自治体で、どんなまちをつくるか、そのために個々の空き家を地権者・地域住民と対話を深めたうえで移住適用か解体かを自治体として決めていくことが肝要と感じた。法律の縛りを優先する必要はなく、条例とは市民が生活しやすくするためのものだということを改めて納得した。ただ、数年前に独居高齢者の生活保護利用にあたり、自宅を担保にするリバース・モーゲージの方法が取り沙汰されたが老朽化と関連するのでは無意味ではないかと思う。さらに深めていきたい。 |
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