第25回市町村議会議員研修会
|
|
「第25回市町村議会議員研修会」
〜3月議会を前に、そもそもから学ぶ社会保障〜
2月12・13日横浜市の関内新井ホールで開催された研修会。160人中、秋田県からの参加は私だけのようでした。一つの自治体で複数の議員が学び合っている様子が見られ、羨ましさを感じながら「次は必ず同僚議員と参加するぞっ!」と心に決めました。
まず主催する自治体研究社の開会挨拶で身が引き締まりました。
……政治構造でも社会保障でも「改革」をするには理由をつける。それを見極めるべきであって、固定的・画一的に考えてはいけない。社会が流動的になっている今日は「生涯学習=学び直し」を続けなければならない。常に知識を研ぎ澄ましておかないと、判断・行動ができなくなる。社会保障を労働と生活の現場(自助できうる現場なのか?)から迫りながら学び直す……
このことを目的に二日間学んでいこう!という研修会でした。
*記念講演(金沢大学の横山壽一教授)「基礎から学ぶ社会保障制度の新展開」
●社会保障と税の一体改革について
@具体化のプロセス:社会保障制度改革推進法(2012年8月)附則として生活保護基準引き下げ→社会保障制度改革国民会議(2013年8月)→社会保障改革プログラム法(2013年12月)→個別法が議論される前に決められてしまう、通知や通達の改正も。
A具体化の内容:その1)社会保障の理念・原則を変える
@自助・共助・公助の三段論法=自助努力をした人、共助に努めた人だけに生存権・生活権を保障する’条件つき’の生存権保障の考え方であり、すべての人に無条件・平等に付与されている憲法の生存権・生活権に悖る。貧困を個人の責任にはできないことが科学的に明らかにされてきた人類の歴史を理解していない。「公助」の考えも間違い=公によって助けられるものではなく社会保障は国民が人間らしい生活をするための国家の責任(1887年以来の英国における貧困調査と社会保障形成の歩み)。「共助」(国民相互の助け合い)は国民生活にとって重要な考え方で発展させるべきだが、生存権の核心は、一人の例外もなくすべての人に生存する権利を保障することであり、それに責任を持つことができるのは国と自治体しかない。
@社会保険を自助の共同化と言い切る無理解…社会保険には保険の側面と社会的扶養の側面がある。加入・保険給付・保険料をみても民間保険とは全く違い、社会保障としての社会保険は公費負担が大原則である(国民への強制加入を強いる社会保険は国が責任を負う事業であり公費投入は基本原則)。
具体化の内容:その2)特異な社会保障理解の持ち込み(推進法にはなかった国民会議の新たな考え方)
@全世代型社会保障(2025年日本モデルとして高齢者世代を給付対象とする社会保障から、切れ目なく全世代を対象とする)の誤り!
○年金・医療は高齢者のための給付ではなく全世代のための給付であり、現在、高齢者がしっかりと年金を受給していなければ現役世代は老後の保障がない。
@「年齢別」から「負担能力別」に負担の在り方を切り替え社会保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みに…という特異な提起:負担能力による負担=応能負担に対するのは応益負担。社会保障に年齢別負担はない→一定所得以上の高齢者の新たな負担を正当化するための議論。応能負担の徹底を逆に提起していく必要がある。
●加えて「企業が世界一活動しやすい国にする安倍政権」のもと、社会保障の市場化、地域包括ケアを逆手に取った公的福祉の地域支え合い(地域支援事業という名で住民に負担を移す)へのすり替えが企まれている。
★では私たち国民はどうすべきか!
@人権としての社会保障の再構築:憲法の理念に立脚した社会保障原則の具体化を。
A社会保障としての社会保険を明確に打ち出す:いつでもどこでも誰もが経済的な心配なく、最高の医療を受けることができる皆保険体制を!
B人権としての地域包括ケアの提起:医療・介護・生活保障・住まいの包括的総合的保障行き場のない高齢者をつくらない!
C国民経済と社会保障との関係の明確化:社会保障の維持・拡充はそれ自体が経済活動、雇用創出効果、所得再分配効果、消費下支え効果、景気循環調整効果がある。
D社会保障財源確保のために:社会保障のための増税といいながら→消費税増税のための社会保障削減がはっきりしてきた。格差・貧困を広げる税の歪みを正す(所得税・法人税の改革)とともに、所得再分配効果を強化する・大型公共事業、防衛費、対外経済協力費等を対象にした国家予算歳出の徹底的見直しなど。
という内容の講演で、問題がどこにあるのか、どうすれば解決できるかをしっかり学ぶことができました。市町村議会でこれを具体的に提起していくための源です。
|