第26回市町村議員研修会…続き
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「第26回市町村議員研修会…続き」
2月12日研修の後半は「実践報告:困窮者の生活支援をすみやかに」というテーマで、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏のお話でした。
31歳の社会福祉士である彼は、学生時代から10年以上も生活困窮者の相談活動・アパート移行・病院同行そして貧困によって犯罪者となってしまった人々への生活支援を展開されています。
年間300件に及ぶ独自の相談支援の他、他機関(弁護士・司法書士・病院ソーシャルワーカー・福祉事務所ケースワーカーなど)とのネットワークを活用して支援活動を行うとともに、ほっとプラスで借り上げた一戸建ての支援付きシェアハウスや支援付きアパート、緊急一時シェルターの運営も行い、約50世帯の入居者がいるそうです。
このように日々実践をしつつ、超党派の県議・市議と20人ほどで論議を重ね、行政に政策提言を議員と一緒にしていくとのこと。地域のおまつりに参加するなどで自治会長や民生委員とも連携し、ネットワークを密にしている点をおおいに学ぶべきと思いました。
*貧困と格差を数字で客観的に把握すること
@ワーキングプア(年収200万円以下)は2010年国税庁によれば給与所得者の22.9%で、今や一家の大黒柱が該当し、その3割以上は非正規労働(普通に働いても貧しい→虐待などが起きる)。
A貯蓄ゼロ世帯:22〜23%(日銀調査)…2000年以降横ばい状態だが、病気・失業→生活保護に頼るしかない。
B母子世帯の貧困:約7割が年収200万円未満(2006年厚労省調査)。
C生活保護利用者:2000年…107万人・2011年6月…204万人・2013年…216万人。特に無か低年金高齢者と稼働年齢層(15歳〜60歳)が7〜8割と増加。
D相対的貧困率:2009年…16%・子どもの貧困率は15.7%
Eジニ係数(0に近いと格差なし・1に近いと格差大)年々増加:1981年…0.35・2006年…0.526(暴動が起きても変じゃない)なぜ暴動が起きないのか?…自己責任化→貧困は命を奪う!
F自殺者数:1998年以降、約3万人が毎年自殺(経済的理由はうち3分の1)
G完全失業率:2011年7月に4.7%(約300万人・若年層…15歳〜24歳と25歳〜34歳の失業率はより高い)
*労働問題が深刻=ブラック企業:不当解雇・残業代未払い・長時間労働からのうつ状態→家族が支えきれない→深刻化→ホームレス化・自殺・犯罪(日本の犯罪は7割が貧困から引き起こされる…雇用に繋がらず繰り返してしまう)。
*講師の実践を通して提起された課題
○就労支援=生活支援=生活調査が欠かせない。
○理念を掲げるだけではダメで実践すること。しかし社会変革と政策提言なき福祉実践はしないほうがよい。
○地域と他機関との連携による社会運動の構築(反貧困ネットワークの重要性と設立)=困っているすべての人に対する支援体制の創造が必要。→どんな人でも排除しない地域福祉実践・まちづくりを追求していく。・・・
特に地域資源の連携は喫緊の課題で、実現できうることだと思いました。
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