第26回市町村議員研修会 第4弾
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「第26回市町村議員研修会 第4弾」
2月13日の第二講義は「子ども・子育て新制度の実施を前に」というタイトルで杉山隆一佛教大学教授のお話でした。
政府は現在、新制度の実施に向けて準備を進めています。この制度は現金給付を基本にして市町村が実施の主体となります。
市町村の保育の公的責任はどうなるのか?新制度の問題点・改善点・留意すべき点について説明がありました。
制度の発端:2012年6月に民主党から骨格案が出された→自民公明両党で問題を提起→自民・民主・公明の3党合意で市町村の保育実施義務を復活させたが、非常に難しい(ややこしい)法律になってしまっている。
基本:現物給付(保育に欠ける子どもへの保育給付)→現金給付(個別利用者補助金)保護者は施設と直接契約をし、施設は応諾義務を持つ(正当な理由がない限り拒否できない)
*現金給付の種類:子どものための現金給付=児童手当・子どものための教育・保育給付の種類=施設型給付(認定こども園・幼稚園・保育園)、地域型保育給付(保育ママ・事業所内保育・ベビーシッター・小規模保育)。
*給付額の設定・負担=いつ決まるかが問題(国は2014年3月までに骨格を決め、2015年3月までに決める方向)
*市町村の条例・確認等を定める基本的視点
@保育条件を現行の基準より引き下げないこと(国基準でもかつては「上乗せ・横出し」をしていた場合は、その基準を復活させた)
A保育の平等性の原理を踏まえた基準の設定(新制度は多様な種類の施設及び事業で保育給付を行うことにより保育条件に格差が発生する仕組みなので、保育を受ける権利からは格差を発生させない・格差を解消すること)
B一人一人の子どもにとって最適な保育を保障できる条件の確保(障害児の場合、障害による集団保育の保障・療育と保育の同時保障など・子どもに保育の継続性を保障できる条件)
*市町村が最低つくるべき条例(2014年6月または9月議会に通さないと間に合わない…2015年の入所受付開始まで)
@保育の必要性の認定に関する条例(事由を定める)
A特定保育・保育施設に関する運営基準の条例(施設が代理受領できるように)
B地域型保育事業者の認可基準に関する条例
C保育料領収基準の条例
D幼保連携型認定こども園の認可の条例
E放課後児童クラブ(学童保育)の設備と運営の基準に関する条例……
短期間にこれだけの条例をつくらなければならない→これに則って事業計画の策定に進む方向。
事業計画策定で留意する点
@ニーズ調査が適切か否か調査票の検討(横手市は既に調査終了してしまった)…幼稚園の預かり保育は通常の保育ニーズ?・学童保育のニーズは全児童対象と区別しているか?・国は小学6年生までの学童保育対象としているが学年ごとの利用希望を把握できる調査か?
A認定こども園への移行を重視した計画にならないように!…
交付通達によれば〜〜民間法人の活力を積極的に活用、子ども子育て支援に関する中核的な役割を担う施設であることから市町村が関与して公私連携幼保連携型認定こども園の普及〜〜と明記されており都道府県の事業計画で市町村に割り振りされる可能性がある。保育所が認定こども園に移行すれば市町村の保育実施責任は解消する。=児童福祉法24条の解体であり、政府が目的とした直接契約の完全実施となってしまう=慎重な検討が必要!
B事業計画を企業参入の誘致計画にならないよう歯止めが必要。
→→→このように、国がはっきり方針を打ち出さない中で、市町村は今年中に条例をつくらなければならないという矛盾があります。少子化問題が深刻になっている今こそ子どもの成長発達を主眼とし、こども目線の子育て環境整備に徹底することが市町村に問われていると痛感しました。 |