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          2017年9月議会一般質問
 
 日本共産党の立身万千子です。
 この夏は、気候変動の影響が横手市を襲いました。記録的な大雨は、床上・床下の浸水をはじめとする住宅被害や農林業被害など甚大な災害を引き起こしました。農作物にいたっては収穫期を迎えるこれからが大変です。被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、国・県と連携を密にしながらしっかりとした復旧に全力をあげなければなりません。
 さらに、8月22日未明には25人が焼け出される火災が発生しました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、住まいの保障など行政の緊急支援が必要です。医療や福祉の立場からも、今こそ真の意味での地域包括ケアシステムを構築していかなければならないのではないか…と痛感したところです。
 さて、私は、今議会において、医療問題とりわけ国民健康保険に関しての問題を取り上げて質問したいと思います。
 我が国には、全国どこの医療機関にも一定の額で診療を受けることができる、優れた医療保険制度があります。そのうちの市町村国保は、協会けんぽなど5つの公的医療保険の中で加入者が最も多い医療保険です。その加入者の負担は、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの6.2%、また国や自治体の公務員が加入する共済組合の4.7%と比べても、所得に対する負担率は高く、9.1%になっているという厚生労働省の資料を、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
 国民健康保険(国保)はもともと、戦前に「戦地へ国民を送り出すために健康でなければならない」と設けられたもので、当時は運営も加入も任意でした。その後、終戦を経た1958年「国民皆保険」を実現するために現在の国保法ができました。農林漁業・自営業など低所得者が多いことを、国でも初めから承知していたのです。さらに現在は組合健保に入れない労働者が国保加入者として増加しています。
 ですから協会けんぽや組合健保のように企業の負担がない分、国が財政保障をする必要があります。ところが国は、1980年代から補助金を下げてきた為に(国民が支払わなければならない分なので)国保税とも言われておりますが、それが引き上げられました。国保税(あるいは国保料)が高すぎて払えず、正規の保険証を取り上げられて資格証明書や短期保険証になり、治療を受けられないままの「手遅れ死」が社会問題になっています。
 国保法第1条には「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障および国民保険の向上に寄与することを目的とする」と明記されています。つまり国保は社会保障制度であるということを、私たちは、まず確認するべきではないでしょうか。
 ところが2015年に成立した「医療保険制度改革法」によって、来年度2018年度より国保の財政運営の主体を、市町村から都道府県に移し、都道府県が定める算定方式のもとに市町村が保険税を決定して徴収・資格管理・保健事業などを担うことが決まりました。
 その目的は「都道府県に一体的に担わせることで効率的な医療費抑制ができるようになり、医療供給水準に見合う保険料も検討が可能になる」また「医療費適正化インセンティブ(動機づけ)と、徴収インセンティブが働く制度的対応」にあるとしています。
 即ち、国保を社会保障制度から、医療費抑制と徴収強化のために大改悪し更に国保を突破口にして医療制度の大改悪を進めることに国保の都道府県化の狙いがあるのは明らかだと言わざるを得ません。
 この都道府県化によって起こる問題点は4つ考えられます。
@ 法定外繰入れなどの廃止や縮小を進め「統一保険料」を導入することで保険料が大幅に引き上げられる恐れがあること。
A 市町村は保険料の徴収率が下がらないように、過酷な徴収を行なうことになってしまうだろうと懸念されること。
B 医療費が上がれば県への納付金も上がるため「高い保険料が嫌なら病院へ行くな」と“受診抑制”が強まる恐れがあること。
C 保険料・医療費減免の「統一化」が行なわれ、各市町村の減免制度が改悪・後退させられる恐れがあること。
 これらの不安や怒りの声が全国で上げられる中、厚生労働省は、去る7月10日第3回の試算方針を都道府県に通知しました。それによると、制度移行に伴う「保険料負担の激変を極力避ける姿勢」を明確にし、法定外繰入れを含めるなど、第2回までの方針とは大きく変わっています。その中で「国への情報として市町村ごとに試算結果を報告すること」が求められています。報告の期限は8月31日とのことですが、ここで質問の一つ目として
1. 国民健康保険制度運営の都道府県化について、2点お尋ねします。
@ 県の試算によると、横手市の保険料はどうなりそうなのか、それに対して市は、どういう方針をお持ちか伺います。
A 資格証明書や短期保険証の発行、そして滞納整理機構との関係は今後どう変わるのかをお聞かせください。
2、次に、今議会に提案されている補正予算にも関係する第2期データヘルス計画の策定にあたり、2点質問します。
 これは、今年3月に第1期計画を策定し、来年度の2018年に第2期計画が始まるというもので、4年前に閣議決定された「日本再興戦略」に規定されています。中身は「全ての健康保険組合に対し、診療報酬明細書(レセプト)等のデータ分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として“データヘルス計画”の作成・公表、事業実施、評価等の取組みを求めるとともに、市町村国保が同様の取組みを行なうことを推進する」とされ、保険者はレセプト等を活用した保健事業を推進することというのです。
 そこで、横手市においては保健事業実施指針に基づき「横手市保健事業実施計画(データヘルス計画)を定め、被保険者の健康増進、糖尿病等の発症や重症化予防等の保健事業の実施及び評価を行なうものとする」ということになりました。
 即ちこの計画とは、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るための保健事業の実施計画であるから、特定健康診査の結果はレセプト等のデータを活用して分析する、又、保健事業の評価も健康・医療情報を活用して行うこととし、「第2期健康よこて21」などこれまで策定してきた様々な健康や医療に関する計画との整合性を図って一体的に計画をつくるもの…と位置づけています。
 以上の点を踏まえ、まず質問の一つ目は
@ 国の指針により、市町村のデータヘルス計画は、県の評価委員会の評価を受けることになっておりますが、第1期の計画で横手市が指摘された事項はどんなことで、それを第2期計画にどう反映させるかを伺います。
A 糖尿病対策や高血圧症対策等を計画に記載するにあたっては、その予防策等を国保の事業計画として行なうことになるだろうと考えます。その際、市民生活部と健康福祉部は、どう連携して県の評価委員会に対応するのかお聞かせください。
2. 最後に、後期高齢者医療制度の保険料軽減措置について質問します。今年2月「保険料軽減措置の継続」を願う意見書案が広域連合議会に提出されたことはご承知のとおりです。その際、横手市選出議員である高橋市長は、討論さえすることなく、不採択を表明した経緯があります。今もそのお考えは変わりませんか?お答えください。
 今年3月時点において、横手市の75歳以上では、所得割が5割軽減から2割軽減になる人が1698人、被扶養者で9割軽減から7割軽減になる人が3786人と試算されています。保険料を年金からの引落しで収めている場合は、これまでの3900円から一気に11900円と桁違いに増える人もいます。厚生労働省は「高齢者と若者の、世代間の公平を図るため」とし、わざわざ「実際に引落し額が増えるのは10月からです。引落し額の間違いではありませんのでご注意ください」と書いたチラシを該当者に郵送しており、手元に届いて開けてみても「意味がわからない」と不安になっている高齢者が多いのは事実です。
 戦後の荒れ果てた日本の国を、大変な苦労をしながら復興し、私たち後輩を生み育ててくれた人達が安心して暮らせることこそ社会保障なのであって、受益者負担だけの考えでは子育ても人口減少対策もそして産業振興も成り立たないのではないかと思わざるを得ません。市長は人口の3割をゆうに超える市民の不安・疑問を解消するための方策を持ってしかるべきではないでしょうか?市民の福祉向上を旨とする地方自治体の役割を最優先させることが市長の責務ではありませんか。ぜひ前向きなお答えを期待するものです。
 これで私の質問は一旦終えますが、9万2000の横手市民の誰もが健康で活き活きと誇らしく、毎日を過ごせるまちづくりを進めていくことが私たちの使命ではないでしょうか。ぜひ力を合わせて進めていくことを、切に呼びかけて終わります。ありがとうございました。

     







  
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