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         2023年9月議会一般質問

 日本共産党の立身万千子です。世界の情勢は未だ混沌としています。ウクライナからの報道では無人の爆撃機が一般住民の日常生活を崩壊させており、日本中で8月の平和への取り組みが、例年よりもなお一層切実さを増したと思います。
 ここ横手市においても「二十歳の集い」に際して若い世代が真剣に終戦記念日に黙祷を捧げ、核兵器廃絶を求める国際署名に応じてくれました。
 また、ワイワイぷらざを舞台にした原爆被害者の朗読劇には小中学生が大人たちと一緒に参加して戦争の悲惨さを伝えてくれました。
 末期の太平洋戦争に駆り出されたのは一家の大黒柱だけではなく、未就学の子ども達までいたということを今年のマスコミ報道で知りました。
 理屈抜きに戦争はダメ!と。そして「平和は待っていても来てはくれない。他人任せにしてはいけない」とヒバクシャの方が私達に残してくれた言葉を噛みしめなければならないと思います。
 今、新型コロナウイルス感染症は第5類になった~と国民が少し安堵したのも束の間、気候変動は私たち横手市民にも襲い掛かっています。全国版で報道される「秋田県横手市」の気温の高さに、熱中症の恐れは医療機関をも直撃し、救急搬送による市の消防担当をはじめ、農作業にも大変な状態が続いていることは、議員の皆さんが議会質問に取り上げている通りです。
 そのような状況を踏まえ、今回私は、健康の課題について「市民の健康増進のために市が率先して取り組むべきことは何か」を、市長にお尋ねします。

1)初めに、地域医療を守るための、市の責務について質問します。
① 現在、国の指示に従い、第8次医療計画を都道府県段階で策定作業に入っていることはご承知のことと思います。
 これは来年2024年度から2027年度まで4年間の計画です。
 秋田県では今年4月25日に開催された医療審議会において、現在の二次医療圏を8から3に見直すとの方針が出されました。
 横手平鹿と大仙仙北・湯沢雄勝をひとつの医療圏域にするという内容です。
 秋田県は人口減少率が全国ワースト1であることから、今後の更なる人口減少に伴う患者数の減少により、医療提供体制の維持が困難になることが主たる理由とのことです。しかし、医療圏を再編・統合してより広域化すれば、地域で住み続けることが難しくなり、医療機関の再編・統合がもっと進んで、人口減少を加速させることに繋がる懸念が容易に想像できるのではないでしょうか。
 医療機関の機能分化、役割分担がなされていればよいとする考えは確かにあります。けれども、全国各地で診療機能をわけたり役割分担ができるほどの供給体制には残念ながら無ってはいません。入院医療のみならず在宅医療を見渡しても、ほとんどの地域で医師をはじめ医療労働者の不足は常態化しています。
 コロナ禍で露呈した医療崩壊は誰もが認めざるを得ないほど、日本も世界も著しいものがありますが、特に日本では国が公的医療費を抑制してきたことが原因と私どもは考えます。全国各地で余裕のある人員体制を持つ医療現場とはなっていないことに起因しており、横手市も例外ではなく「医師と医療スタッフが足りない」と現場からの悲痛な声が上がり続けている中で、「医師、看護師等の確保と働き方改革」が新たな課題への対応として総務省による「公立病院経営強化ガイドライン」に盛り込まれました。
 確かに医師の過労死問題、看護師等の離職問題など深刻な問題を早急に解決しなければなりませんが、そもそも公立病院に経営強化の観点は必要か?と私は疑問を払拭できません。地域住民が住み続けることのできる医療提供体制を築いていくことで持続可能な地域社会が作られるものと考えます。
 以上のように、実際問題として、地域医療構想による医療提供体制が弱体化して行くことに伴い、所謂「医療難民」が増えてその結果として国内で一番の人口減少率を抱える秋田県の課題が、より深刻になる恐れが大きいと懸念します。この観点から市長は、県の医療審議会の方針を、どうお考えなのか、伺います。
 昨日の播磨議員の質問に対するご答弁がありましたが、私からも再度お聞きしたいと思います。

② 2019年9月に、厚生労働省から再検証を名指しされた、市立大森病院においては、地域住民の切実な統合反対の陳情が市議会で採択され、国へ意見書が提出されました。それが功を奏して大森病院は存続となり、大きく私達市民を勇気づけてくれました。しかし国は、その後さらに執拗に公立・公的病院の再編・統合を進めてきています。人口減少の課題という視点に加え、この地域医療の構想は、住民の医療を受けることができる受療権や、健康に生きることができる健康権の保障にも食い込むことになってしまいます。先般の市立大森病院の統合反対の陳情というケースは、これらの権利への危機感の表れであると思いますが、市長は、こうした地域住民の切実な要望に背を向け、国・県の方針にただ単に従うお考えでしょうか?それとも住民の受療権、健康権を保障する取り組みをしっかりと進めるお考えか、どちらでしょうか?お答えください。

2)次に、横手市においては市民の健康権をどう保障していくか、これは国・県が指針を示し、それに基づいて市が具体化するものですが、市の施策のベース・土台になるものと考えます。そこで、次の点を伺います。
①  「第2期健康よこて21」計画の振り返りについて、お尋ねします。
 この計画は、市の第2次総合計画の基本目標のひとつである「みんな元気でいきいきと暮らせるまちづくりを実現するための戦略プロジェクト」と位置付けられ、2015年(平成27)3月に10年計画で第2期の計画が策定されたものです。
 来年2024(令6)年度が最終年度であり、2020年度(令2)に中間評価がなされました。
 その前の第1期計画では、生活習慣の改善を中心とした「一次予防」を重視しましたが、数値的に横ばいで推移しているために継続し、それに高齢化率のアップを見込んで、疾病を抱えながらも、質の高い生活を維持できるよう「重症化予防」を重視した取り組を進めることを「第2期健康横手21計画」の目標としました。このため「個人の健康づくりに対する啓発や支援に加え、個人の健康水準を向上させる社会環境整備も併せて進める」との目標が立てられています。
 その中で、医療の役割に掲げられていることは「専門家として関係機関・団体等に助言・支援・治療のみならず、疾病予防のための生活習慣改善指導や健康に関する情報提供などを行う」とし、9つの分野と国民健康保険の「データヘルス計画」(保険事業実施計画)との連携を謳っています。すなわち生活習慣病・認知症予防・心の健康と自殺予防・栄養食育食生活・身体活動・たばこ・アルコール・口腔の健康といった分野です。これらはどれも尤もな事項ですが、いかんせん、市民には全く身近なものになっていないと思うのは私だけでしょうか?例えば、子どもの不審者対策である「いかのおすし」(行かない・乗らない・大声を出す・すぐ逃げる・知らせる)とか、栄養バランスのとれた食生活の指針である「まごわやさしい」(豆・ごま・わかめ・やさい・魚・きのこ・いも)など、語呂合わせ等々で住民の日常に入り込む工夫が必要ではないかと思います。また、フレイル予防については、県の広報に掲載されているもので「今の歩きに もう1000歩プラス」というキャッチフレーズなども「健康よこて21」計画に挙げられている「がん・心臓病・脳疾患」の3大疾病予防にも繋がるのではないかと思いますがどうでしょうか。
 ともかく、計画実施の中間においてはどんな評価がなされたのか伺います。

② 次に、第2期計画の中に明記されている特徴についてです。それは「高齢化の著しい横手市にあって要介護認定者一人が複数の疾病を持つケースが多い。この対策として、データヘルス計画との連携も含め、地域包括ケアシステムを活用していく」とのことです。
 要支援1・2の認定者も含め、前の項目で申し上げた「がん・心臓病・脳疾患」の3大疾病が全体の9割を占める実態は、国・県・そして同規模自治体と同様とのことですが、今後の課題、とりわけ「地域包括ケアシステム」の活用をどう展開していくか伺います。

③ この計画の冒頭に「健康の駅事業」が掲げられています。平成17年から取り組まれてきて、全国の議会から視察も多いこの事業は、健康寿命の延伸を目指し、心身ともに健康な市民が増えていくことを目標に、生活習慣病の予防・加齢と廃用の悪循環(ロコモティブ・シンドローム)予防そして、市民相互の親睦を図りながら健康づくりをするという重点策を掲げています。最新の運動機器や体そ計を備えた大規模駅もさることながら最近は中規模・小規模駅が増加し、地域の皆さんの利用が増えていることは評価に値すると思います。それと介護予防等、高齢福祉事業との連携や事業評価の数値化といった課題がどう達成されているか、また、今後の方向性は何か、お尋ねします。

3)市長の所信説明に突如出現した?と受け止めたくなるような「電子母子健康手帳 子育てDX小児予防接種サービス」の提案がありました。
 「国の予算724万円を活用して導入するとのことですが、所信説明によると「電子母子健康手帳を入口として、保護者にとって予防接種スケジュール管理や予診票の記入、医療機関にとっては予診票確認や委託料請求、市にとっては接種記録登録や接種委託料の支払い処理を電子化できる」と説明されています。そこで2点質問します。
① 「子育ての負担軽減に大きな効果が期待できる」と市長が言われる具体例はどういうものか、お尋ねします。
② 「事務の効率化」に繋がるとの説明ですが、どのように繋がるのか具体的にお示しください。
 昨今のマイナ保険証の混迷状況を見て、多くの市民はデジタル・トランス・フォーメーションに対し、不安を抱いています。
 市長が所信説明で言われるには「もちろん、これまでの紙による予診票等を用いた予防接種も継続する」とのことです。ぜひとも市民の要望を尊重し、医療関係に従事する皆さんや市の担当部門が納得できる方策を取り、説明を尽くして混乱をきたさないようにと願うものであり、その点について、市長のお考えを伺います。

 以上で私の通告した質問を終りますが、9月に入った現在も猛暑が続き、横手市では前代未聞の異常気象と言われております。
 農作物の出来栄えも懸念され、とにかくこの地域は冷房設備のない家屋が多くありますし、先般は冷房装置をつけてはいても電気代の高騰が心配なあまり、暑い室内で体調を崩した例もありました。諸物価高騰の対策とともに医療機関の充実が今こそ必要で重要な課題と考えます。
 地域の実情に応じた医療提供体制の構築が大切であり、医療機関の経営強化ではなく、地域住民が「医療の公共性」を実感できる横手市にすることを切に願って質問を終ります。







  
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