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         2021年3月議会一般質問

 日本共産党の立身万千子です。 
 ようやく春の訪れが感じられる3月になりましたが、昨年末からの記録的な大雪は、何度も全国ニュースとなり屋根の雪下ろしや毎日の雪寄せをはじめ、例年とは明らかに違う異常な積雪に市民の疲労困憊が限界に達した感があります。この大雪による市内の空き家の倒壊は何回もマスコミ報道され、市の基幹産業である農業においては、ビニールハウスのパイプや果樹の枝折れなどの被害が甚大で、これから雪解けに伴って更に深刻になる恐れがあります。又、道路の排雪が追い付かず、通学路となっている歩道は巨大な雪の壁に視界が遮られて危険な状態の中、市職員のボランティアが力を発揮してくれました。
 自衛隊の出動をはじめ秋田県初の災害救助法適用といった緊急事態に市としてどう対処するか、議会の全員協議会でも激論になりました。個人情報保護の観点があるとは言え、民生委員をはじめ地域住民の福祉に携わる福祉協力員には基本的な情報提供を基にしての日頃の支え合い、助け合いが非常に大切であると、改めて教訓が引き出されたのではないでしょうか。
 さて、新型コロナウイルス感染症対策について、市長は年末の記者会見で「正月には首都圏から帰省する人も多いと思う。手洗い・うがい・手指消毒に努め、ソーシャルディスタンスを守るなど十分留意するように」と市民に呼びかけられましたが、「帰省する人」を当然視されての発言に対し市民からは懸念する声が寄せられました。 第3波の真っ只中だった首都圏から帰省することを当たり前のように発言される危険性を憂慮していたところに大森病院でクラスターが発生しました。市民の不安はエスカレートし、残念なことに感染者やその家族に対する誹謗・中傷も出始めました。このことは大変遺憾であると同時に、この点もクラスター発生を「有時」とすれば、「地域支え合いネットワーク」といった「平時」における地域住民の交流や助け合いが日常的になされているなら感染者家族への思いやりや関わり方も当事者に寄り添うことができるのではないかと思います。
 折しも県南部男女共同参画センターでは昨年11月から今年2月にかけて「地域の女性リーダー育成事業」が開催されました。その中の実践講座やフォローアップ講座では「地域自治会への女性参加の実践」が報告されました。結論として「少子高齢化が免れないこの地域にとって、従来のように男性だけではなく性別を超えてみんなが協力して地域を支えなければならない。個々人が得意な分野を地域でもしっかりと発揮することが大切」とまとめられました。このようにして「地域支え合いネットワーク」が活きていくものと考えると同時に、行政によるコーディネートの重要性を私は痛感した次第です。
 連日目まぐるしく変わっていくマスコミ報道によると、ようやく政府が全市町村へのワクチン導入を決定し「医療従事者の接種が終わったら次に65歳以上の高齢者を対象として6月までに2回の接種を終了することを目指す」という方針を出しました。それに先がけて横手市でもワクチン対策準備室を設置し対策を進めているわけですが、そこで今回の質問は、はじめに
1、新型コロナウイルス感染症対策について大きく3点に渡ります。

1)1つ目は、ワクチン接種と感染対策の基本的取り組みを同時並行で進めるべきと考えるものです。その根拠ですが、元日本癌学会会長の黒木さんの著書「新型コロナの科学~パンデミック、そして共生の未来へ」が昨年末に刊行され、とてもわかりやすく解説されているので少し紹介したいと思います。 著書の中で、
このウイルスはインフルエンザなどのように症状が出てからではなく発症前から感染し、最近の論文では59%が無症状者からの感染である。高齢者にとっては今までで一番恐ろしい病気だと思うが、若い人でも後遺症が次々に判明し屈強なプロスポーツ選手でさえ血栓などを引き起こして死に至る例が出てきている。
 このウイルスをチェックするにはPCR検査と抗原検査しかないが、抗原検査の感度は今のところPCRの1/20ほどしかなく、そのためPCR検査にならざるを得ない。しかし日本の厚生労働省はPCR検査を制限してきた事実がある。その言い分の1つは「偽陰性」が30%出るということだがそれは検体を採取する時期の問題だとわかってきた。つまりウイルスの排出には時期的に変化があり、そのため無症状感染を捕まえるには週に2回の検査が必要になることで「PCRはコストパフォーマンスが悪い」と判断した。その結果、国家予算を位置づけなかった国の責任は大きいと言わざるを得ない・・・。とあります。
 昨年の9月と12月議会においてPCR検査の拡充を求めた私の質問に対し「潤沢な予算を持つ大都市の自治体とは違って横手市では大規模検査は不可能」と市長は答弁されました。しかし大森病院のクラスター発生を貴重な教訓として、せめて医療・介護施設に従事するスタッフへの定期的検査は必要ではありませんか? また、ワクチンについて黒木氏は「個人を守るという意味と集団免疫によって摂取していない人も含め集団を守るという意味がある」と評価しており、社会の6割の人が免疫を得れば集団免疫を獲得するとされているが、日本人は世界149ヵ国中最下位というほどワクチンに懐疑的であるという調査結果が出ており、相当な情報公開と啓蒙が必要だ・・・とも話しておられます。
 そこで質問ですが、あくまでも、ワクチン接種とPCR検査を同時並行で進めることが必要と考え、次の2点をお尋ねします。

① 無症状者を含めた検査体制を確立するために横手市はどう手立てをするのか、少なくとも医療・介護施設の職員を対象にできないか?市長のお考えを伺います。
② ワクチン接種体制の市の進捗状況を伺います。国の方針がしっかりと定まらない下で、現在の時点までにおいて横手市が取り組めることをどう進めるか、市民の不安・疑問を解決するために質問します。

2)昨年の10月臨時議会で「コロナ対応地方創生臨時交付金事業」が採択されました。その中の「スマートフォン決済ポイント還元事業」について2点質問します。
① 市内事業所の中で、この決済方式を導入した割合を伺います。
② この事業の目的が「感染リスクを低減しつつ…」というものでした。1億円という多額の予算に対し「費用対効果」をどう判断しておられますか?

3)前回12月議会で質問した「休業支援金(給付金という言葉も使われますが私は支援金と呼ぶことにします)」について再度質問します。これは市内に住む非正規労働者を含む従業員が休業した場合に取得できる国の制度ですが「窓口がハローワークなので横手市は周知に努める」という答弁でした。その後、年明けの2月5日に政府が「コロナ禍で休業手当が支払われない中小企業の労働者に国が支給する休業支援金について、大企業の非正規労働者にも対象を拡大する。ただし時期については昨年4月まで遡るのではなく今年の1月8日から」という発表をしました。
 そもそもこの休業支援金は、コロナ禍で休業した中小企業の労働者が経営者による休業証明をもらえないために休業手当を取得できない場合、県の労働局が直接経営者に掛け合って休業証明書を揃え、その結果国が賃金の8割を労働者に直接支給する制度で昨年7月に始まりました。もともと労働基準法には「企業が労働者を休業させた時には休業手当を支払う」と明記されているのです。
 しかし、シフト制(いわゆる交代勤務)で働く大手チェーン店のパート、アルバイトに対して企業は「シフトを減らしたのであって休業せよとは言っていない」などと主張し、休業証明を無視する事例が多発していることから社会運動になりました。その結果大企業のシフト制非正規労働者、さらに日雇いを繰り返す「日々雇用」と登録型派遣についても対象となりました。けれどもその場合は賃金の6割で支援の期間も平等ではありません。
 国全体では制度開始から半年以上経っても休業支援金の給付総額は予算額の12%程度に過ぎず、制度拡充の要望とともに制度自体が知られていないため申請が増えないことが問題です。しかもこの制度は市が窓口ではなく、県単位で対応することから、市民には内容も申請方法も相談方法も見えていないのが現実です。そこで質問ですが、
① 休業支援金の取得を促進するために、全国展開の大企業に勤務するアルバイトを含む労働者をはじめ、該当する市民への周知に横手市はどう取り組むのかを伺います。ハローワークや秋田労働局に繋がる道筋などを頻回にわたって周知されることを提案しますがいかがでしょうか? 
 市や県の行政機関では大企業の雇用状況は把握できないとのことですが、コンビニエンス・ストアをはじめ、大手のスーパーマーケットや飲食店、服飾関係の企業等々、横手市内でも相当数の市民が働いている現実を踏まえて、ぜひ市として出来る限りの手立てを求めるものです。

2、次に、横手体育館と市民会館の問題ですが、建て替えについては必要性を理解する一方、財源の面から次世代への市民の重荷にならないのか、と市民の心配する声が聞かれます。「県下第2の都市として将来を見据えた立派なハコモノを建設する」と豪語される市長は大型公共施設の建設と維持管理にどういう展望をお持ちなのでしょうか? これまでの事業で合併特例債を活用し返済してきた残りの25%を使うことであっても、今後の維持費をどう捻出するのか等々、市民の懸念材料が消えません。基本構想をまとめ来年度予算で基本計画策定に入る方針とのことですが、次の4点について質問します。

1)ひとつは、財源は大丈夫なのかということです。とりわけ次の2点についてお尋ねします。
①コロナ禍と大雪の影響により、市民の負担を鑑みるとき、自主財源の確保は今後相当厳しく見込まなければ難しいのではないかと心配しますがどうでしょうか?
②当局では、あらゆる依存財源を分析されていると承知しているつもりですが、なかでも臨時財政対策債は地方交付税とは言え、総務省の考えはあくまでも地方自治体に貸すものだからということで、名称はどうであれ、いずれ返済の通達が届くであろうことを憂慮します。それらの依存財源は有効とお考えですか?

2)次に、両施設の集客力について質問します。
現在の体育館は老朽化が著しく、暖房はほんのりとあっても酷暑の夏を迎える横手市なのに冷房設備なし、その上観客用の座席数が圧倒的に不足。また市民会館も老朽化に加えて駐車場の極端な狭さ、交通アクセスの問題を中心にFM計画の考えに立って建て替えるとの説明を受けています。市内に現存するかまくら館やサンサン横手をはじめ各地域局の管轄である施設や体育館も含めて、行事の内容を見て振り分けていくという説明ですが、そうなれば建て替え後の両施設の集客のメドや稼働日数のメドは具体的にどう見据えておられるのか伺います。
 産業連関表も提示され、経済波及効果も掲げられて来年度には具体的な基本設計に着手したいという市長のお気持ちは理解するものの、心配される点も数多くあるように思いますが、どうでしょうか?

3) 新しい両施設は災害時の避難場所としての機能を有するとのことですが、広い横手市の面積からして、実際に地理的条件から、市民にとって問題はないのかと懸念します。災害用備蓄品の保管や活用も含め、各地域局の庁舎の有効利用も考えるべきと思います。その点はどうお考えでしょうか?

4) この項4つ目の質問ですが、現在ある増田、雄物川、大森の体育館や各公民館の体育館などと、新しい大型公共施設との利活用の兼ね合いはどうするのかお尋ねします。第2項目の質問は「集客についての過度な期待を心配するもの」であり、この第4項目は逆に、現在、学校の部活動やスポーツ少年団、各種の生涯学習団体に類似するスポーツ教室などで利活用の多い各地域の体育館についてのことです。これらの施設はFM計画に則っているとしても、例えば増田体育館においては、使用頻度が高いにも拘わらず、雨漏りは直さないままですし、雪害対策も十分なされていないと聞きます。新しい施設が令和7年度に完成することを展望しても、まずは現在市民が利用している施設について市民サービスの維持・向上を図るべきと思いますが市長はどう考えておられますか?

 以上で私の質問を終えますが、8万市民の声や心配事を身近に直接受け止める立場の私たち議員が、将来の横手市を見据えたまちづくりの方針・施策を市長に質すべき代表質問や一般質問に対し、市長答弁という形で率直に市民と向きあい、お考えを表明いただけるよう切にお願いいたします。 
 また、この3月で市職員の任務を終えられる皆様に厚くお礼を申し上げます。様々な困難を乗り超え、地方自治を担って知恵と力を尽くされた皆様には心から敬意を表します。今後はそれぞれのお住まいの地域活動や地域のリーダーとして益々のご活躍に多くの市民の期待が寄せられています。市民福祉の向上そして横手市のさらなる発展のため、より一層お力を発揮していただきますようご期待申し上げて私の質問を終わります。








  
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