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     2019年12月議会一般質問

 日本共産党の立身万千子です。一般質問に入る前に、ひとつ市長に申し上げたいことがあります。
 先般9月26日に厚生労働省が公表した全国で424にのぼる病院の再編統合方針の中で、我が横手の市立大森病院が名指しされました。これを受け、すぐさま地域住民による「市立大森病院を守る市民の会」が結成されて、市と議会に対し1000筆を超える署名とともに陳情書を提出したこと、そして市長自ら記者会見で、大森病院存続のために力を尽すと表明されたことが全国の地方自治体と住民を励ましています。
 しかし、それが今回の12月定例市議会における市長の所信説明ではどこにも記されておりません。私はその点を懸念するものです。
 市長には横手市民の先頭に立って地域医療と住民福祉を守るため、国の理不尽な政策と対峙して頂きたいと切に要望します。
 それでは通告に従って一般質問をいたします。
 今回私は、横手市の行政に携わる職員、病院勤務の職員は除きますが約2000人のうち、半数の約1000人にも及ぶ非正規職員が、国の法改正に則って来年4月から「会計年度任用職員」となることについて質問します。
 今や、住民の命と暮しに直接関わる現場の業務の大半が非正規職員といっても過言ではない状況で、国を挙げての「働き方改革」が叫ばれています。安倍内閣が提唱する「働き方改革」とは「同一労働同一賃金の実現」とか「長時間労働の解消」や「高齢者の就業促進」などでヨーロッパ諸国に比べても遜色のない水準を目指す…とのことです。それ自体は歓迎すべきと私も思います。
 しかし来年4月から開始される「会計年度任用職員」という制度のもとでは、常勤の正職員以外の非正規職員は働き方がどのように変わるのか、明確に理解することは困難な現状があります。
 会計年度という一年間だけしか働くことが許されないのか、今の働き方より満足できるものなのか、そうではないのか、当事者はもちろん、市民にとっても身近な公共サービスを提供してくれる職員さん達がどうなってしまうのか不安や疑問が払拭されないままで、この地域社会は続いていけるのでしょうか?
 折しも先ほど一般質問で加藤議員が取り上げた課題であるSDG‘s・・・sustainable development goals について私も少し触れたいと思います。
 国連総会では、2030年までに全世界が達成するべき「持続可能な開発目標」というSDG‘sが採択されました。この中に謳われている「健康と福祉」・「安全な水とトイレ」・「住み続けられる街づくり」・「働き甲斐も経済成長も」など、17項目にわたって日本政府も持続可能な地域社会を築こうと取り組んではいます。しかし、法律でこのように会計年度任用職員制度を作っても、それに必要な交付金等々の財政措置が担保されなければ住民に最も身近な地方公務員の身分に影響し、結局は「SDG’s」が絵に描いた餅になってしまう恐れがあると懸念します。
1、 以上のことから、まず最初の質問は
現在の非正規職員が会計年度任用職員になった際に得られるメリットそしてデメリットは何かを伺います。ひとつは「収入面」もうひとつは「働き方」についてお聞かせ下さい。

2、 次の質問は、会計年度任用職員のうち1号職員が所謂パートタイマーで、2号職員がフルタイムの業務を行うとのことについて、ふたつの違いは何かを5点にわたり質問します。
① 現時点で1号職員と2号職員とに分類される各職員の人数。
② それぞれの職員の勤務時間
③ それぞれに適用される各種手当の種類
④ 兼業( double work)は可能か不可能か
⑤ 福利厚生はそれぞれどう変わるのか
以上についてお聞かせください。

3、 会計年度任用職員の任用期間について質問します。
 今議会に提案されている条例案では「3年を超えない範囲で任命権者が定める任期の範囲内」という文言になっています。詳細は規則で定めるとのことですが、世間では民間と公の職場の違いを問わず、一般事務職であっても最低3年は同一部署で勤務すべきと言われています。現在横手市では保育士や介護士など10年間勤務が保障されている専門職の非正規職員がいるわけですが、その職業柄、市民との信頼関係を構築し継続して深めていくには、それ相当の期間が必要だからであろうと私も思います。任命権者である市長はその点をどのようにお考えでしょうか?
 さらに、国の方針が「任用期間を会計年度としたことで、更新しないという根拠にもなるのではないか」と懸念する声もあります。 そのような市民の不安と疑問を解消する手立てについて、横手市では条例案の運用方針をどう具体化するお考えかお聞かせください。

 以上が私の質問ですが、この「会計年度任用職員」という制度が導入される背景を私たちは冷静に見ていかなければならないと思います。即ち、以前から国や県、そしてわが横手市でも吹聴されてきた社会背景として「日本は公務員の数が多くまた公務員の人件費が財政を圧迫するので、公務員の数を減らし、その給与を下げるべき」とする主張があります。はたしてそうでしょうか?
 資料に掲載した3つのデータをご覧いただきたいと思います。「図1」は、横軸が労働力人口に占める公務員の割合で、縦軸がGDPに占める公務員給与の比率であり、そのもとでOECD各国の相対的な位置関係を示したものです。そこで確認できることは、日本の労働力人口に占める公務員比率は他国と比べて低いこと、そしてGDPに占める公務員給与の比率も低くなっているという点です。
 「図2」はOECD各国のGDPに対する負債の水準を示したものです。グラフの一番左に位置する日本はGDPに対して負債の水準が突出していることがわかります。従って「日本は公務員の数が多く、人件費が財政を圧迫するので公務員の数を減らし、その給与を下げるべきとする主張はあたらない」ということが言えます。
もうひとつ「図3」を参照すれば実際問題として地方自治体の正規職員数は減り続け、2001年以降の15年間で45万人減少しています。ですから私たちが生活する上での公共サービスは、正職員に加え、多くの低賃金の非正規公務員によって支えられてきていることを認識しなければならないのではないでしょうか。
 先般のテレビ報道では「台風15~16号の残した教訓」として深刻な警鐘を鳴らしていました。「非常勤職員は緊急時に出動しなくていい」という原則のため、山崩れや家屋の水没など大変なパニック状態の中で、限られた少数の正職員が対応しきれず困惑している様子の画像が放映されました。地球の気候変動・温暖化でまさかの自然災害が頻発する昨今に、ただ「職員を減らせばよい」という傾向は危険極まるというものです。私たちの住む横手市も他人事ではないのです。
 現在、各地方自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」に沿って準備が進められているとのことですが、給与水準の考え方について「マニュアル」によれば「類似職務の級の初号給、職務の内容や責任、必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮し」となっており、再度の任用にあたっては「常勤職員の初任給決定基準や昇給の制度との均衡を考慮することが適当」としています。しかしその一方で「それまでの職務経験すべてを考慮する必要はない」として事務補助職員については正規職員の初任給基準額を上限としています。
 さらにマニュアルでは「任用根拠の明確化・適正化」の中で「ICTの活用や民間委託の推進により・・・現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの必要性を十分吟味したうえで適正な人員配置に努める」よう求めています。これはどういうことを意味するでしょうか?即ち今回の会計年度任用職員の導入が、自治体業務のアウトソーシング拡大と、それによる臨時・非常勤職員の削減に繋がる懸念があることを念頭に置かなければならないのではないでしょうか。卑近な例を述べますと、2018年度予算で財政赤字を理由に1200もの事業見直しとともに120人の臨時・非常勤職員を削除するとした新潟市の場合があります。また静岡県島田市は2018年8月に非正規職員の業務すべてを外部に委託する「包括委託」の方針を出しました。保育士や給食調理員、学校事務など170ある非正規職員の全業務を委託対象として検討するという提案でその対象となる非正規職員は約500人とし、結果的にこの案は2019年3月に否決されたそうです。これらの事例は会計年度任用職員制度を導入すれば人件費が増えることを避けるための施策でした。このような事例を教訓にして、わが横手市では地域住民に密着した地域性・専門性そして継続性が求められる地方自治体の責務が本末転倒にならないように心して対処しなければならないと痛感します。
 「働く人々の満足度が高くなければ住民の満足度は高められない」ことをしっかりと確認しあい、会計年度任用職員の制度を「市民ファースト」で運営することを願って質問を終えることにしますが、最後にもう一度、冒頭に申し上げた市立大森病院の存続について発言させていただきます。国が提唱するところの「地域包括ケア」を実践し地域住民の拠り所として全国のモデルにまでなっているエリアの中核をなす医療機関である大森病院を、市長は記者会見で発言されたとおり不退転の決意で守っていかれることを信じております。ぜひ私ども市民の期待に応えてくださるよう重ねて訴えて私の質問を終わります。











  
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