第17回議員の学校
講義1
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「第17回議員の学校…講義1」
5月25日の第一講義は、大学時代を思い出す厳しい2コマの授業でした。弁護士で専修大学法学部教授の白藤博行氏が講師です。テーマは「地方分権改革の総括と展望・と地方自治法改正」についてです。冒頭に白藤氏は、ご自身が地方自治にこだわる理由を述べられました。
*高度経済成長期に四日市市など校外問題に直面され経済の発展は住民の幸福に寄与するのかの疑問。
*「惨事便乗型”潰憲”に抗う憤り(私もまったく同感です)…未曽有の命と生活・人権を奪った人災というべき東日本大震災と福島原発震災に国や財界は便乗している。小さくても弱くても少なくても、大切な声がある。見えないものを視て、聞こえない声を聴き、感じられないものを感じる人権・自治意識の重要性を痛感する。
*現代的貧困が蔓延している現実に目を瞑り、なにが「国土強靭化計画」か!。”信用崩壊国家”の中で、大事なのは「人権強靭化計画」ではないのか!という鮮烈な想いを踏まえて話してくださいました。1990年代半ばに始まった「地方分権改革」とは何だったのか?…分権を追いながら自治を失った20年だったのか?
*12年前(平成14年)の西尾私案が今後の分権改革における基礎的文献になる(今後は一定規模の自治体が事務処理能力を付けるべきでそれができないなら合併せよ!→これを機に全国3223あった自治体が1718と半減した。
*最近の「地方分権改革」論の動向と地方自治法改正をみると…「地方都市の壊死論」(地方は中央によって壊死させられる)。「人口減少社会」論(人口急減社会の到来)==2014年地方自治法改正により新たな広域連携制度や定住自立圏構想など盛り込む。そもそも「地方自治の本旨」とは…はっきりしない。国家が出来る前から地方自治があり制度的保障説などいろいろな説がある。
要は「なんのために地方自治が存在するか?」地方自治では団体自治と住民自治が車の両輪と言われている…住民自治だけでは民主主義が弱く、改革が進まない。だから住民自治を実現するために団体自治がある。==地方自治は国の下請けをするのではない。
憲法を具体化する責任は地方自治体にある!(福祉国家の自治体の在り方は人件費を惜しんではいけない。自治体自身ががんばること!
具体例として白藤氏があげたのは「子ども子育て新制度」の中の児童福祉法45条:主語が厚生労働大臣から改正法では都道府県に変わった。
従うべき基準は参酌すれば可能に変わった(参酌=無視しても構わないという意味)。子育て関係の重要項目は自治体の条例で定めることになった=自治体の職員・議員・住民の政策・法務能力が問われる→議員・住民のキャパシティ・ビルディングが必要になる。・・・・・
このように国の流れは政府の権限を強化し、国の最低基準に満たなくても各自治体に丸投げする方向にあるということです。当事者である住民・議会・行政が主体的に力をつけていき、住民の暮らし・命を守ることがいよいよ必須になってきているのだと痛感しました。 |