第17回議員の学校
講義2
|
|
「第17回議員の学校 講義2」
5月26日午前の講義は「地方自治をめぐる動向(自治法改正・分権改革・道州制)を住民自治の実践経験から考える」というテーマで長野県阿智村の前村長を4期16年された岡庭一雄氏でした。
氏は36年間阿智村職員として住民とともに村興こしや村民福祉の向上にむけて運動をしてこられ、村長選に推されて出馬し以後無投票当選で阿智村政を担ってこられました。
講義を受けていて、氏の活動の原点・きっかけは、地元阿智村の悲惨な戦争の歴史だと思いました。終戦のわずか3か月前の1945年5月に(全国的な取組みではあったが特に長野県はドラマ「大地の子」のモデルになるほど満蒙開拓が多かった)阿智村で「満蒙開拓団」という組織を作り満州に民間人が渡って終戦後は日本軍に見捨てられ悲惨な目にあった事実があります。いったい誰が民間人を満州に行かせたのか?…村長たちが国の政策をそのまま執行した==戦前の地方自治は、国の「お達し」「下請け」でしかなかった。しかし、戦後その反省はなく、国は地方自治を育んでこなかった。なぜか?==国の政治を補完するための位置付けを地方自治におけば、国の政策誘導が「交付税」によってやりやすくできるから…と岡庭氏は解説されました。
氏は村長就任にあたり3点を約束したそうです。@地域要望は議員ではなく、住民が役所に出してもらう(議員の口利きは受け付けない)。A決算に際し、予算残額があっても仕事(事業)の内容を見てもらう(事務事業の評価が大切であり不用額に固執しない)。B政策検討委員会を全議員の参加で立ち上げ、懇談や学習をしていく。という斬新で至極当然!のことです。 しかし、まだまだここまで改革が進んでいるところは少ないのでは?と我が横手市議会を見ても感じます。 さらに村民5人以上でむらづくり委員会を組織し、飲み食い以外の視察や学習などの費用は全額村が補助し、公民館を活用することで住民の意識が高揚したことがすごいと思いました。
よく「議会と行政は車の両輪」と言われますが、岡庭氏は行政(首長)・議会・住民・職員で4輪駆動になろう!と強調されました。
行政(職員も)は行政情報のずべてにわたって説明を含む情報公開をし、住民の学習・実践を支援し住民に判断を委ねる。
議会は、審議を通じて住民判断を手助けすると同時に決定の責任を負う。
住民は、自分の地域や暮らしの主体者として、企画・発言・実践する…という総合計画のもとに16年間村を発展させてこられた講師でした。
そして「労働者として自分の要求をしっかり言えない職員は住民の要求も受け止めることができない」と、自治体労働者の大切な役割を主張されたのです。
住民は「顧客」ではなく「自治体の主権者」であり、自治体をサービス産業と見立てた市場化・民営化(足立区など)の動きとは相容れないものである。
地方自治とは…基本的人権を各地域で擁護し発展させる民主主義運動であり、基本的人権を各地域で保障し実現する民主的・自治的な制度や組織であり、民主的国家の基本構造を規定するという欠くことのできない原理である。と結ばれました。
|