秋田県における地産地消
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「秋田県における地産地消」
6月7日、秋田市のにぎわい交流館AUという新しい建物を会場に秋田県農村問題研究会が主催するフォーラムがありました。
サブタイトルは「発見、秋田の底力」〜希望と勇気をもてる秋田県農業とは〜というものです。呼びかけ文を紹介します。
「”地産地消”は、農家による農林水産物や加工品の直売及び食育活動等へ発展をとげ、農家の営農活動として定着しています。また、JA、流通業者、量販店、生協等と農業者が連携した地産地消も広がっています。さらに食の安全安心の確保、もしものTPP加入による無秩序な輸入による外圧から農業と生活を守るためにも、地産地消は重要になっています。そこでこのたび秋田県の水田農業など特徴を活かした”地産地消”の在り方を、話題提供、生産者、流通業者、消費・実需者の報告を踏まえ、現状、課題、対策を論議し展望します」。
この緊急で壮大な問題提起に魅かれて参加しました。まず主催者側が「本県の地産地消の推移・現状・課題等」を話題提供しました。同研究会幹事の鈴木栄司氏は大変理論的でたくさんの貴重な資料をもとに熱弁を奮って下さいました。
*地産地消の特徴=各々の担い手が生産・流通・消費を兼ねている場面が多い。生産:認定農業者・集落営農組織・女性農業者・高齢農業者・兼業農家など全形態と一般市民の自給生産(自給菜園も)。流通:市場・生協・量販店・小売店・直売(直販)組織・個別農家・行商など。消費者や実需者は一般市民・加工業者・レストラン等の飲食店など・・・今や多様な担い手が一体感を持ち協働することを目指さなければならない。と強調されました。
国は「食料・農業・農村基本法」や「食育基本法」を作ったが、そこまで作り上げたのは現場の農民であること。横手市でも「六次産業化」を目指すと市長は表明しました。水耕栽培工場がニュースにも出たりしていますが、秋田県の六次化の基本は一次産業振興に置いており、学校給食への地場産物活用率を80%以上とする目標です。稲作一点に頼ってきた秋田県農業も1993年のコメ大凶作から野菜類の直売所等への関心が高まりました。2010年頃から直売所が増加の傾向になりJAが参入しました。
鈴木氏は現在は直売所が担い手の高齢化や、加工が増えても多彩にはなれないといった課題があり「ふれあい直売十文字」のように、経営管理と商品生産を分離して発展する方向を目指すことが重要と話されました。
その後、八郎潟町の学校給食への取り組みが紹介され「小さい農家でもやる気は持っている!」と今後の意欲を示されました。
3番目の報告は市場側からです。「市場卸の地産地消の取り組み」として「朝どり野菜の午後販売」を紹介されました。普通の出荷よりもゆるやかに荷造りすることも特徴ですが、市場側がこまめに生産者を回ってコミュニケーションをはかっていることがカギだと思いました。
4番目の報告は、わが横手市十文字のデリカテッセン「紅玉」の店長さんでした。私も大好きでお友達とよく利用します。「地産地消レストランの取り組み〜地域に必要な店づくり」というタイトルで紹介されました。

十文字にある地産地消レストラン[紅玉]の店長さんが報告しました。
”身土不二”の精神でだしの取り方など身体に良い本物をいかに簡単に料理するか、地域の親子に話す活動もされています。2008年に開業してから常に農家の想いと消費者をつなぐことやマッチングを続けてきたこと。地域の野菜を使っていたので震災後も休まず営業してきたこと。雇用の課題も大切にし、経営的に苦しい時も地域の人材と地域の産物が基本という理念でがんばっていることが報告されました。
減反見直しやTPP問題が深刻になっている今、地産地消は最後の砦になるでしょう。直売が売る為だけの手段になってしまわないように。また、学校給食に出荷する割合をもっと高くし、保護者・子ども達との交流を、八郎潟町のように「ふるさと先生」として農家の方々が食材とともに教育・文化の継承の担い手になっていく発展をイメージしていきたい!いかなければ!と思いました。
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