二十歳を迎えられた皆さんへ
|
|
はたちを迎えられ、成人式にご参加の皆さん、本日はおめでとうございます。私たちは、ここ横手市に住んで、平和を願い、核兵器の廃絶を求めて活動している様々な市民団体です。
二十歳になられた皆さんをご一緒にお祝いし、これからの世の中が安全で健康に生きていけるように、そして生きがいのある仕事につき、子どもたちが伸び伸びと育っていけるように、ご一緒にがんばっていきたいとの思いから、ただいま皆さんに平和の署名をお願いしています。どうかご協力くださいますようお願いいたします。
「核兵器を地球からなくそう」という署名は、ニューヨークの国連本部に届けます。ぜひご協力をいただき、お一人お一人の大切な平和への思いを託してください。
ちょうど69年前の今日8月15日は、長く続いた戦争が終わった日でもあります。少なくとも第二次世界大戦の5年間で、日本人は300万人、アジアの人々800万人、そして世界中で2000万人もの人々が尊い命を奪われました。一昨日の夜テレビでは、太平洋戦争が終わる一年前、ペリリュー島という小さな島で日本軍とアメリカ軍の悲惨な戦いがあったこと、両国の何千人という兵隊のうち9割にも及ぶ若者が殺し殺されたことが報道されていました。また、戦場には行かなくても「銃後の守り」を固めようと、本土にいた人々にも原子爆弾をはじめとする殺人兵器が容赦なく襲いかかりました。
とりわけ、戦争末期には皆さんのような前途有望な青年・学徒が13万人も出陣を余儀なくされ、神風特攻隊や人間魚雷などで多くの尊い命が奪われました。無念の死を遂げざるをえなかった当時の若い人々は、もっと学びたかったでしょうし恋もしたかったでしょう。世の中の役に立ちたいという高い志も戦場に散ってしまいました。
皆さん、戦争に正義はありません。宗教にせよ資源獲得にせよ、どんな理由であれ、戦争は絶対にしてはいけないのです。
ところがいま私たちの住んでいる日本は、戦争の足音が聞こえる、ただならぬ情勢になっています。
安倍首相は、憲法を守る義務を他の誰よりも負っているのに、憲法解釈を勝手に変えて集団的自衛権の行使容認へと与党で密室協議をし、7月1日、しゃにむに閣議決定をしました。
集団的自衛権というのは、日本が攻撃されていないのに海外でのアメリカの戦争に日本の自衛隊を参戦させ、戦場で「殺し殺される」国になることです。だからこそ、歴代の自民党政権も固く禁じてきたのです。安倍内閣の暴走は「ふたたび戦争はしない」と誓った憲法9条を壊す、まさにクーデターではないでしょうか。
日本は先の侵略戦争と植民地支配を反省し、戦争をしないと誓った憲法9条を持ったからこそ戦後の69年間、他国の人を一人も殺さずにきました。これは、世界に誇るべきことです。
今、日本に求められているのは、紛争を武力ではなく、平和的に解決する「外交」の力を発揮することです。
集団的自衛権の行使容認にとどまらず、安倍政権は、改憲手続き改悪法の強行、秘密保護法の年内実施のための国会への秘密会設置法の見直し、フランスで開かれる国際武器展示会に日本の軍需企業13社が出展して官民あげた武器輸出の推進など、憲法9条を持つ国とは思えない暴走ぶりです。何が何でも「戦争できる国」へと突き進む安倍政権と戦争推進勢力の好き勝手にさせるわけにいきません。
この国の主権者は私たち国民なのです。
いま、自民党内や改憲推進論の人々からも厳しい批判があい次ぎ、世論調査でも反対が多数になっています。
全国各地で「日本を殺し殺される国にさせない」「わが子を、孫を戦場に送らない」と、草の根から大きな運動が広がっています。
戦争は絶対ダメです! 平和な日本と憲法9条を守りぬこうではありませんか。「集団的自衛権の行使容認に反対する署名」「憲法9条を守る署名」「秘密保護法廃止署名」にご協力をお願いします。
皆さん、来年2015年は被爆70年です。一瞬にして無差別に命を奪う核兵器の廃絶に向け、世界は今大きく動いています。
この流れを励まし、前に進める力になっているのが「核兵器全面禁止を求める国際署名」です。日本政府は、北朝鮮の核開発問題の解決のためにも、世界の流れである各兵器禁止条約を結ぶ交渉の先頭に立つべきです。集団的自衛権の行使容認などでは、隣の国との緊張を高めるばかりで、核問題の解決にはなりません。2015年にはニューヨーク国連でNPT(各不拡散条約)再検討会議が開かれ、この署名を国連代表に提出します。どうぞ署名にご協力ください。
小説「蟹工船」で世界的に有名な作家・小林多喜二を始め、戦争に命がけで反対した若者たちは治安維持法によって弾圧され、その犠牲者は数十万人にのぼります。彼らの「反戦平和」「主権在民」「生活向上」などの主張は、戦後の平和憲法にしっかりと生かされました。よく憲法を変えたい人々は「アメリカ言いなりで作られた憲法だから良くない」と言います。しかし歴史を勉強すれば、拷問を受け、虐殺された治安維持法犠牲者たちと、それ以前の明治時代以来の自由民権運動などにまでさかのぼる日本の人々の主張が、今の憲法には脈々と受け継がれているのです。
この憲法を変えるのは国民の反対が強いだろうと見込んだ安倍政権は、集団的自衛権の行使容認という重大なことを、今の憲法の解釈を変えることで乗り切ろうとしています。同じ自民党の古賀誠元幹事長は「このままいけば徴兵制が必ず議論になる。人間の命が戦争によって失われてはならない。日本は平和憲法のもとで非軍事に徹した国際貢献をしてきた」と述べています。自衛隊員の人たちも「自分は日本の国土の安全を守るために入隊した。人を殺すために自衛隊に入ったのではない」と苦しんでいます。皆さん、今の日本は戦争か平和かをめぐって戦後最大の歴史的岐路に立っていると言われています。真っ先に犠牲になるのは今日成人式を迎える皆さん方若い世代です。私たち、まわりの大人は皆さんと力を合わせ、絶対に皆さんを戦場に行かせないようにがんばります。
日本の未来・秋田の未来・横手の将来を担う新成人の皆さん、これからの人生が平和のうちに、健康で生きがいのある仕事に就けて幸せに生きることができるように、どうか核廃絶・平和の署名にご協力くださいますよう、お願いいたします。
|