「地域医療問題を考える」研修報告 bQ
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「地域医療問題を考える」研修報告 bQ
二日目の研修課題は「これからの社会と社会保障」についてです。
@これからの地域と行政は、どうなっていくのか?〜〜今、地域に起きていてこれから一層進むこと
(1)国際化・情報化の進展と社会の二極化…ITの進歩は人類の生活に豊かさを与えた。同時に負の側面
=TPPにアメリカが加入→規制緩和の価値基準が世界の基準に。
「医」→非関税障壁として原則認められていない「混合診療」や株式会社の医療参入解禁の可能性→国民皆保険制度の崩壊に。
*無制限に混合診療を認めると貧富による格差・医師の地域偏在の可能性大に。
治療効果のない詐欺的医療が増す可能性大。
*アメリカの医療:映画「シッコ」に如実=無保険者が人口の15%。
A確実に起きること=急激な高齢化(特に都市部の都道府県)に伴って起きること
(1)医療・介護の絶対的な資源不足
(2)医療・福祉・年金の支出の増大
(3)税収の減少…特に固定資産税の減少傾向が大きい
(4)その一方…地域には元気な高齢者が存在する
B地域における個人の孤立の拡大(さらに深刻化が予想される)
(1)悲惨な事件の増大…児童虐待相談対応件数が10年間に4倍化・壮年層の孤独死。
(2)社会不安増大 →行政不信増大
(3)地域住民の相互不信
(4)社会的コスト・行政コストの増大→ゴミ屋敷:地域の孤立を減らさなければもっと増える。
C国・地方自治体の機能劣化…戦後、日本の公務員組織は廃墟の時代から立ち上がり不足する住宅・交通・産業・教育・保健・医療などの人的・物的な基盤整備に尽力が、豊かになったゆえ?の問題(児童虐待・ひきこもり・ホームレス)は中央集権では解決しない。
*社会問題解決には「人」が必要。…特に激増する高齢者をいかに支えるか!
市町村(現場に最も身近)が関係者と知恵を絞って住民とともに動くべき。
D絶対的な医療資源不足の下で国の社会保障政策はどのように動くか!
(1)社会保障と税の一体改革…政治よりも官僚主導の考え
→ 必要なサービスはきちんと・財源はとり易い消費税!!
→ 景気が落ち込む懸念大きい。
(2)現状…年金:医療:福祉(介護や子ども)=5:3:2の予算割合
これを、社会保障の安定化に4%分・社会保障の充実に1%分子ども(0.7兆円)・医療介護(1.5兆円)年金(0.6兆円)
(3)消費税が10%になれば相応分予算を増やす=あくまでも官僚側の考えしかし講師は明確に言わないが、これまでの消費税は福祉には使われず!
(4)医療・介護サービス提供体制改革をみると〜一定の安定体制 ・入院医療の機能分化・強化と連携…急性期・亜急性期・慢性期・地域包括ケア体制の整備…在宅医療と在宅介護の充実
*県がビジョンをつくり役割は拡大するが政策責任はあいまい
→ 市町村も医療ビジョンをつくるべき=医療・介護・消防・防災等々
・高齢者も介護者等関係者も在宅で抱え込まないようにすること!
・かかりつけ医=開業医一人では限界→ マップで分析が必要
E医療介護総合推進法:2025年(第1次ベビーブーム世代が75歳以上になる)を見据えて、持続可能なサービス提供体制の確立をめざすとして今年6月成立
(1)介護保険利用料を高額所得者は1割→2割に増額(基準が曖昧のまま)要支援を介護保険から除外・特養ホーム入所を要介護3以上になど問題点が多い
(2)地域包括ケアシステム構築を趣旨としているが、法律上、最終責任は 国? 都道府県? 市町村?・・・・・決まっていない!
(3)しかし中学校区を地域包括ケアのエリアにすることが決まった以上市町村の役割が大きい。
*キーワードは連携=関係者が連携するためにコミュニケーションを図ることが重要となる=関係者をいかにつなぐか!==行政の役目になる
*地域住民をお客様にしてサービスするやり方はNG.
地域住民(市政連絡員・民生委員・社会福祉協議会・NPO等々と一緒になってがんばる職員.議員も)が必要==まちづくりの意義が大きい。
以上の研修内容でした。
その中で「国民健康保険の保険者問題」にも触れられました。
都道府県は反対しているものの、保険者を市町村から(広域連合ではなく)都道府県にすることを国は強力に進めていると。
「さらなる公費の投入」と法律上では掲げながら都道府県単位の運営にし定率負担割合を減らす方向にあり、そうなると都道府県は財政負担を減らすために医療費の効率化(抑制)に取り組まざるを得なくなる
→ 健康推進だけではない政策が県民にマイナス作用?!
結論:今後、地域は本格的な高齢社会による存続の危機に直面することになる。
高齢者が安心でき、地域住民が連携して看取りのできる社会にできる「まちづくり」を結果的になし得る活動が私たちの役目ということでした。

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