第36回議員の学校
---講義4
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「第36回議員の学校 ---講義4
~地方自治の本質と教育行政の在り方
~地方分権一括法の成り立ちと自治体の選択」
「議員の学校」学校長の池上洋通氏が講師でした。
まずはじめに「不正統計の何が問題なのか?…統計法の理念から離れる行政」という講義がありました。
これは毎月勤労統計という基本的な統計の作成にあたって、定められた手続きからの逸脱が明らかになったことについてです。
国民主権の下での公的統計の意義・役割と統計情報の重要性は、戦前からの深刻な歴史体験によって得られたものだと説明されました。2007年に制定された統計法第1条「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤」という意味を真剣に受け止めなければならないと痛感しました。
1881年にイギリスの統計年報をそっくりマネしたのが最初ですが蜷川とらぞう・美濃部亮吉といった研究者たちの懸命の努力で世界水準に達した統計行政が1936年の二・ニ六事件以後戦時体制へ進むとともに統計書や気象情報まで秘密事項にされてしまったことを忘れてはならないと。
1941年12月8日の開戦に合わせ「天気予報は敵軍を利する」として天気予報の公表を停止したため翌年から4年間に周防灘・鳥取・東南海・三河とそれぞれ1000名を超える台風や大地震の犠牲者を出しているが記録がほとんど残っていないのだそうです。
戦後、現行統計法の前の旧統計法は1947年憲法施行前の5月1日に施行され、その第1条に「統計の真実性の確保」という文言を位置付けたことに制定者の深い想いがあると言われました。法律制定の背景にはGHQの存在はあるが「統計制度の改善に関する委員会」には大内兵衛・美濃部亮吉をはじめ大変が戦時中の思想統制の下で何等かの弾圧を経験した人々だったこと。そこから戦後は正確で客観的、信頼できる資料を国民に提供するものとして日本の統計行政は歩んできた。それが今大きく揺らいでいることは大問題であり、私たちは主権者として不正統計を深刻に質さなければならないと強調されました。
単に「中央政府には呆れた・困った…」で片付けられないのであって、地方議員の役割は、全住民の生活を把握し真実を見極めて知らせ、誰もが「生きていて良かった」と思える自治体をつくることだとカツをいれていただきました。
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