第31回市町村議会議員研修会第四弾
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「第31回地方議会議員研修会〜〜第4弾」
5月12日最後の講義は「自治体財政のしくみと2015年度財政の焦点」というテーマで、霜田博史高知大学准教授のお話でした。
@地方財政を理解するための基本的なしくみについて
毎年度の予算は自治体の活動を金銭的に表したもの。予算執行年度が終われば、2か月の出納整理期間を経て、監査を受け、決算書の提出→議会の認定となる。一般会計=基本的に自治体の支出すべてを扱う。
しかしサービスの提供から得られる対価が発生する事業等については=特別会計で管理される。
*歳入予算の留意点=歳入の構造・前年度との変化・市税の内容・地方債の発行額と内訳・財政調整基金があるか、取り崩しをしている場合はどの程度かなど。
*歳出予算の留意点=首長の言っていることとやっていることの一致度・計画を実施するための事業が適切に予算に反映されているか・事業ごとの予算は・部局を横断した今日的課題への取り組みの全体像の確認・多額の事業の問題点は・長期事業の問題点は・将来の負担になるものを見逃さない・ハコモノに注意・繰出金は何のためか・委託料や補助金、負担金の行先は…これらがチェックポイント。
*決算分析の意義=自治体の財政状況を判断するため。2009年から地方財政健全化法において、決算における4指標(実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費率・将来負担比率)をもとに財政破綻の設定が行われる。個別に分析するための3つのグッズ=地方財政状況調査票・財政状況資料集・決算カード。
*地方財政の歳入=地方税・地方交付税・国庫支出金・地方債で8割近い。依然「3割自治」の状況であり自主財源の確保は大きな課題。
*地方財政の歳出=1980年代後半〜1990年大後半は土木費が大→2000年代〜民生費が増。住民福祉の根幹は基礎自治体である市町村が支えている←国のナショナルミニマム維持の責任が後退している背景。
*今後は社会資本の新設ではなく維持管理・更新が中心となる=2015年度地方財政計画に「公共施設等最適化事業費」が創設される=facility management。
A2015年度財政の焦点
地方創生が具体化されることへの対応が必要。政府が出す地方創生の目玉=2016年度創設の「新型交付金」…各市町村が今年度中につくる総合戦略(2015年度〜19年度の5年間の活性化計画)に盛り込んだ事業に限り使える…政府はその内容を精査して交付規模や使える範囲を決める。
しかし全国首長アンケートによれば、その地方版総合戦略の策定が「自前で可能」という回答は37.1%であり、58%が「国や民間の支援が必要」と回答している。
Bまとめ
各自治体の財政状況と課題は、各地域の経済、社会構造に規定されるものであり、まず、自分の住む自治体の財政分析をしっかりと行うこと。9月議会の決算が非常に重要になってくる。
以上、二日間の4講座は、基本に帰っての地方議員かつ地方議会として重要な学びでした。
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