成瀬川源流域の自然を子孫に残そう〜〜
生物多様性を考える
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「成瀬川源流域の自然を子孫に残そう
〜〜生物多様性を考える」


11月24日に秋田市で開催されたシンポジウムについて、遅ればせながら報告します。
民主党政権時に、何十年という膨大な時間と莫大な予算をつけて建設中の八ッ場ダムの工事中止の動きがありました。しかし安倍政権に戻ってからまた、全国的にダム建設が復活しています。
横手盆地を見下ろす栗駒山系から流れる成瀬川に、利水・治水を目的とした多目的ダムを建設する方針が出されてから10年近く経ちました。
昔とは違い、農業用水として本当にダムを建設しなければならないほどの水資源が必要なのか?という点と、貴重な自然を破壊する事業は許されるものではないということから、裁判闘争を継続中の成瀬ダム建設!。
この日は、3人の講師による環境課題中心のお話を受講しました。
@金沢聡氏(NPO法人・本州産クマゲラ研究会副理事長で北秋田市在住)による「東北のクマゲラの現状」
A金井塚務氏(日本森林保護ネットワーク代表)による「成瀬川源流域の自然の価値」
B市川安弘弁護士による「未来遺産の指定に向けて」
各講師とも専門性を生かしながら、私たち素人にもわかりやすく、熱っぽく語ってくださいました。
裁判の争点は、ダムという施設がレベルUの地震に耐えられるのか?という点で、例えば金沢市の犀川=穴あきダムであり大雨時しか使えない。熊本県=球磨川のダムを壊し始めたことにより水産業・海産物が復活し、地域振興に活用中。米国=30年前にダム建設を中止し、壊し方をしている。(ダムの維持費が利潤よりも大きいため)。
この成瀬川流域の地域は学術上貴重で、普遍的価値を有する自然遺産であり、しっかりとした調査もせずに水没させることが大きな問題だと訴えられました。
秋田県北の白神山地がなぜ世界自然遺産に選ばれたか
@原生林が広く存在すること。Aクマゲラ・二ホン鹿など貴重な動物が生息すること。の2点だそうです。
しかしこの成瀬川源支流域には氷河期の遺存種であるマツダタカネオクモなど植物のみならず動物もいる可能性があること、亜高山植物が群生していることなどが特徴で、未来の子どもたちに残す自然(未来遺産)でありパタゴニアのように指定させることが近道であると市民団体がユネスコに申請しているそうです。
このように環境問題においても深刻な指摘がなされている成瀬ダム建設。これ以上、ムダな公共事業で私達の将来を食いつぶすことは許されないし、地方創生とは、まず生物生産の再生でなければならないという結論でした。
単に地元の雄物川流域のみならず沿岸部への影響も計り知れない問題だということを学び、愕然としたシンポジウムでした。 |