公共施設の在り方に関す調査特別委員会の視察
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「公共施設の在り方に関す調査特別委員会の視察」
4月5〜6日、お隣の岩手県へ研修視察に行きました。初日は盛岡市の「公共施設アセットマネジメント」について、即ち建築物系の施設について、向こう20年間の具体的な取り組みの方向性を定める基本計画を作成し、どう進めているかを勉強しました。
この背景は横手市と同様に、公共施設の老朽化により建て替えや大規模改修が必要になっていること・維持更新費用が増大することに反比例して少子高齢化に伴う人口減少という人口構造の変化や経済状況の低迷などから財政状況が厳しいこと…でした。
盛岡市の優れた点は、まず、全施設の利用状況や収支状況、将来の見通しなどすべてにわたる調査を綿密に実施し「施設カルテ」をつくったこと・これを資料に、市民討議会を組織したこと・そのメンバーは住民基本台帳から無作為に169人を抽出し世代ごとに40人を選出して施設の利用者や管理者を交え、青年会議所と合同で討議する方式をとったこと。そして縦割りが宿命になっている市役所内に「資産経営課」を設置し、固定資産台帳も一括して管理していることだと思いました。
さらに県立大学と提携して市職員の身分のまま2人を「まちづくり研究所」に派遣し、市の内部の情報を見続けながら研究していることで「市民協働のまちづくり」の視点から公共施設の管理を実施している点を私たちも参考にしなければ!と痛感しました。
翌日は、盛岡市から車で約20分の紫波町に行き「オガール・プロジェクト」を視察しました。

オガール マルシェ のにぎわいと オススメの本

官民共同で小さな町に何十倍もの人々が訪れ、図書館と道の駅を中心に発展していると評判のところです。ぜひ自分の目で学んできたいと思っていたのでラッキーでした。というのは、全国から視察が引きも切らず、なかなか受け付けてもらえないからです。受け入れる側も大変なので、視察者一人につき1000円の視察料(受講料)が必要でした。
町生産の木材をふんだんに活用し、10年以上前から「循環型まちづくり」として資源も人の世代も経済も循環させるトップの姿勢が生きている町でした。
背景は、駅前の商店街が苦戦しているところに駅前開発用地として広大な土地を町が取得してしまい、その解決策について、官と民が連携するための代理人(エージェント)の役割を担うべく「オガール紫波株式会社」を8年前に設立したことでした。
現在は、県フットボールセンターや保育園・エネルギーステーション(木質バイオマス)・紫波町型エコハウス基準の宅地分譲・図書館・マルシェ(野菜のみならず魚や肉なども豊富でスーパーマーケット仕様)・貸しスタジオ・役場庁舎・それらの真ん中に広場・大通り公園と広がっています。綿密な計算により年間30万人の交流人口を目指していたのが今や90万人と発展しています。
パワーポイントで説明をして頂いた後、粘り強い取材をもとに幻冬舎から出版された猪谷千香氏の著書「町の未来をこの手でつくる」を読んだら、ひとつひとつおうのプロジェクトが生まれるまでには、大変な苦労があったことがわかりました。
例えば、2年前に完成した役場庁舎はいわゆるPFIによる手法で、建設後の管理運営を担当するSPC(特別目的会社)は、紫波シティホール株式会社という地元の業者さんたちです。経済の循環を特徴とする紫波町ですから、ゼネコンとは一切無関係。提唱者の一人である前町長は100回町民に説明をして回ったそうです。今も、官民連携室を町役場に設置し、とにかく市民協働を貫いて、補助金に頼らないまちづくりを進めてきた10年間の取り組みに感動しました。
猪谷氏の著書の「終わりに」にエールが書かれています。
〜〜オガールプロジェクトを知り、では、自分たちの町で何ができるのか。ぜひ自分たちの町へと持ち帰って、それぞれの成長のプロジェクトを考えていただきたい。未来はあなたの町でも、あなたの手でつくられるはず〜〜
この視察がいつか、必ず実を結ぶように頑張らなければ!
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